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#1 寝床と飯と金

※この小説は一部AIを利用して執筆しています。

大学近くの路地を、田沼まりんはふらふらと歩いていた。


春の風はまだ冷たく、コートの裾を揺らす。肩にかけたボロいトートバッグの中には、大学の入学許可証と、使い古した筆記用具。財布の中身は、缶ジュース1本買えるかどうか。昨日はネットカフェの深夜パックで求人を眺めて夜を明かした。今日はもう、泊まる金もない。


「……やっぱ、無理かもな」


まりんは、ため息をついた。高校時代、親が蒸発してからはずっとバイト漬けだった。よくご飯をくれた先生が大学に行けと言ったから、頑張って勉強した。バイトも続けた。大学にも合格した。


これからもがんばるぞ!と意気揚々と出勤したら、バイト先は破産。

ショボショボと帰ればお家は燃えてなくなっていた。


あの時のことは、思い出したくない。

保障やらなんやら、蒸発した親が借りたアパートなのでなにも分からない。

バイトだって保護者の許可とかごちゃごちゃ言われないところだった。

今はただ、どうやって今日を乗り切るか、それだけを考えている。


「大学、やめようかな……」


そんな独り言をこぼした瞬間、目に飛び込んできたのは、路地の奥に貼られた一枚のポスターだった。


【寝てるだけで給料発生!?】

VRメイド喫茶《夢見亭》スタッフ募集中!

・高時給!長時間勤務歓迎!

・VRMMOプレイ中も給料出ます(寝ながらOK)

・まかない付き&寮完備で生活も安心

・顔が良ければ未経験歓迎!個性重視!


「……これだーーーーー!!!!」


まりんはポスターをじっと見つめた。自分の顔には、自信がある。というか、顔だけは昔から褒められてきた。性格はともかく、顔だけは。

そして、もう選択肢がなかった。まりんはポスターの矢印に従って、路地の奥へと足を踏み入れる。


そこにあったのは、ちょっと不思議な建物だった。外観はメイド喫茶風だが、窓から見える店内モニターにはゲームの映像が流れている。店の看板には《夢見亭》の文字。入り口の扉には「スタッフ募集中」の札がかかっていた。


まりんは、勢いのまま扉を開けた。


「こんにちは!ここで働かせてください!」


店内は静かだった。カウンターの奥から、店長らしき人物が顔を出す。年齢不詳、落ち着いた雰囲気。まりんの顔を一瞥すると、すぐに言った。


「採用」

「え?」

「顔がいい。ちょっと疲れた顔してるけどここに居れば良くなるでしょ。即採用。履歴書は一応、出して。不採用にすることはないから。寮も空いてる。飯も出す。VR機器も貸す。今日から働けるね?」

「……っ!?はい!!」


まりんは、思わず返事をしていた。勢いのまま店に飛び込んだ自分が言うのもおかしな話だがあまりに早すぎる展開に、頭が追いつかない。でも、布団と飯と金があるなら、それでいい。


こうして、田沼まりんは《夢見亭》のメイドとして働くことになった。寝ながら働ける、夢のようなバイト。安心した瞬間、気力が抜けてしまった彼女は、後に「怠惰なメイド」と呼ばれることになる。


でも今はまだ、そんなことは知らない。

なんか息抜きにメインで書いてるものとは違う設定を考えていたら書き始めてしまいました。

かわいいは正義

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