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ア〇パンマン
『ア〇パンマン』
さあ
僕の顔をお食べと
彼は瀕死の僕に
そう強要する
いやだ
食べたくない
だってそれは
貴方の顔じゃないですか
僕の呻きは言葉にならず
わずかに開いた口には
彼の顔が押し込まれる
うっ……
あぐっ……
はあっ……
生の肉のニオイ
血が滴り
髪の毛が唇に絡みつく
どろっとして
生温かく
異常な臭気を放ちながら
僕の中に押し込まれ
僕を充たしてゆく
ほら……
どうだい……
元気になっただろう……
顔のない彼が僕にそう告げる
その声は
僕の中から聞こえてくるようで……