夾雑・ピース
『夾雑』
目を塞いでも
世界が消えるわけではなく
口を閉ざしても
言葉が失われるわけではない
耳を塞いでも
音はそこに存在するし
鼻をつまんでも
匂いが絶えるわけではない
すべては変わらずにそこにある
たとえ私の感覚が永遠に失われようと
世界は何も変わらない
完全な沈黙があれば
完全な思惟が可能になるのに
なぜ世界はこんなにも
雑音にまみれているのか
絶えることのない嬌声が
私から純粋な観念を奪っていく
『ピース』
悪いものや恐ろしいものは
みんな空白から生まれてくる
どこかで失くしてしまった心の欠片
その虚ろに穿たれた空隙がよからぬものを希求するのだ
空白が求めるものは限りがない
充たされぬと知りながらも歪なものを求め
やはり充たされぬことに空白はその版図を広げる
欲望は争いを生み
争いは平和を蝕む
私たちの平和を壊しているのは特定の誰かではない
それは誰の心にもある哀しい空白なのだ
だから私たちはその空白を埋めよう
失われた心の欠片を拾い集め
少しずつでも空白を埋めていこう
私たちが探し集めたいくつものピースが
いつかきっと大きなピースになる
そう
小さな欠片が大きな平和を作るのだ