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いつか見た景色

 『いつか見た景色』


 ふと訪れた異国の地で

 不意に足が止まる景色がある


 鮮烈でありながらもどこか郷愁を誘い

 秋風のように懐かしく

 細雪のように不思議と温かい


 生まれて初めて見るはずの景色

 異国の地の

 言葉の通じない人々の暮らす古い街並み


 古色蒼然たる路地

 その雑踏


 見慣れぬ人々が聞き覚えのない言葉を交わし

 破顔する人々は何が可笑しいのかもわからず

 落涙する人々は何が悲しいのかもわからない


 日向にうずくまる猫さえ異邦のたたずまいで


 何もかもが真新しく

 理解の及ばないものであるはずなのに

 それでもなお

 私の胸に去来した懐古の念は心の奥底に留まり

 けっして消え去ることはない


 目に映るすべてがセピア色に染まり

 回転し

 縮小しながら

 私の胸に吸い込まれていく


 私は確信と共に思う

 この景色は私がいつか見た景色なのだと


 私はこの景色をいつか見たことがあるし

 いつか見ることを知っていた


 ただ心だけが時を飛び越えることができる


 すべての絶え間ないもの

 すべての揺るぎないもの

 それらを飛び越えて

 私たちは私たちのセピアを探すのだ



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