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チルチルミチル
散る散る満ちる
幸福の青い鳥
ふたりはもう食べてしまった
それと気づかずに
初めは卵だけだった
「兄さん、卵焼き美味しいね」ミチルは言った
「ああ、目玉焼きも美味いな」チルチルは言った
でもそれだけじゃ満足できなくなった
「兄さん、肉が食べたいよ」ミチルは言った
「おれもだ。卵はもう飽きた」チルチルは言った
幸福の青い鳥
それは丸々と太っていて美味しそうだった
「この鳥は毎日卵を産む。あなたたちはもう飢えることはない」
旅人を家に泊めたとき、その人が御礼にくれた青い鳥
それは貧しいふたりにとっては宝物だった
食べてしまう、そのときまでは
散る散る満ちる
幸福の青い鳥
鳥はもう卵を産まず、兄妹の空腹を満たすこともない
鳥ガラはスープになった
でもそのあとは、もう、何もない