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男女比2:7の野球部で甲子園に出場する  作者: みらいつりびと


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37/48

独楽川戦

 2回戦の相手は独楽川(こまがわ)高校。

 青十字は後攻で、先発投手はきみ。

 独楽川の1番バッター東西さんは好打者で、きみのストレートをセンター前に弾き返した。

 初のヒットを打たれたが、慌てず騒がず、きみは後続を連続三振に切った。

 相変わらずスプリットが冴えわたっている。どんどんスピードが上がって、ストレートの速度に近づいている。

 僕はきみのスプリットを打つ自信がない。魔球だと思う。

 相手ピッチャーは右サイドスローで投げる2年生の火鳥遥花(ひとりはるか)さん。

 胸がすごく大きい。ユニフォーム越しでも、投げるたびに胸が揺れるのがわかる。

 しかし、そんなものに惑わされる僕ではない。

 と思っていたのだが、セカンドゴロに打ち取られてしまった。

 火鳥さんはコントロールが良く、スライダーとチェンジアップのふたつの決め球を持つ好投手だった。

 青十字打線は打ちあぐねた。

 投手戦になった。

 4回裏、僕はレフトフライでアウト。

「胸なんかに負けないでよ」ときみに言われてしまった。

「そうだ時根! 煩悩を捨てろ!」と草壁先輩。

「時根くん、むっつりやったんやね」と志賀さん。

 次は打たねば。

 だが、6回裏に打順が回ってきたときは、ついに三振してしまった。

 僕は本当に胸に惑わされているのかもしれない。

「バカ、スケベ!」ときみに罵倒された。

「心の修行をしろ!」と草壁先輩。

「時根くん、見損なった!」と志賀さん。

「失望しました」と胡蝶さん。

「あのあの、この試合、時根くんに期待するのはやめましょう」と能々さん。

「やさしいわたくしでも怒るわよ」と方舟先輩。

「ダサいのじゃ」とネネさん。

「同情するよ。あれは打てねえわ」と雨宮先輩が言ったとき、ベンチの女性陣の目が氷点下以下の冷ややかさになった。

 高浜先生はずっと火鳥投手の胸を見ていた。

 きみはストレートをコーナーぎりぎりに投げつづけ、魔的なスプリットを決め、相手チームに得点させなかった。

 スコアボードにはひたすら0が並んでいた。

 7回裏、方舟先輩と志賀さんの連打で、とうとう均衡を破り、1点をもぎ取った。

 それが決勝点となった。

 きみは完封した。この試合、僕はノーヒットに終わった。

 1対0で薄氷の勝利。

 帰りの電車の中で、僕はきみに口をきいてもらえなかった。

 ちなみに草壁先輩はまたしても全打席三振だった。

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