愛 二乗=変
「果穂子、誕生日おめでとう!」
朝、学校の校門前のこと。
彼氏と待ち合わせしていた。
そこにラッピングされた彼があった。
殴ってもいい?
「ひどいよ~、彼氏殴るなんて!」
頬をおさえて講義してくるがこの際無視。
「誰が欲しいっていった!?」
握りこぶし片手に問いただす。
「だってだって、果穂子の部屋に俺がいるんだよ!?
最高じゃん!寝るときは抱き枕にしてねv」
「だからって、等身大のぬいぐるみはないでしょ!?」
「いらないわよ!そんな場所取るもの!」
「酷いよ!俺の愛が沢山詰まってるのに!」
大きい声を出したので肩で息をしていると、
気になる事があった。
「最近一緒に帰ってない理由ってそれ?」
「うん、そうなんだ~。
作ってる時、つい言いそうになって困ってたんだ。
やっと渡せた」
そう言う彼の目の下には黒いものがあった。
彼の笑顔にはやり遂げた感が滲にじんでいた。
肩が落ちた。
「しょうがないわね。もらってあげる」
嬉しそうに笑顔を綻ほころばせた彼は、まるで大型犬のようで。
結局私が折れるんだなぁって思った。
「あ、予鈴鳴ったね!早く行かないと遅刻だ!」
そう言って彼が背を向けた時、殺意が沸いた。
「ねえ」
「なに~?早く行こうよ」
一歩前で私を待っているあいつ。
「どうして背中に私の人形背負ってるのよ!!」
「いつでも一緒がいいからv」
あいつの背には私が等身大で、しかも制服を着て微笑んでいた。
いつでも一緒という言葉通り、縄でくくりつけている。
もうこいつ、生かしておけない!
「殺す!!」