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4.四人の英雄

 俺もホールの中に入り、指定された席に座る。


 ホール内はとても広く千人以上は入れそうな大きさがあり、武器を持った新入生たちが続々と入ってくる。


 やはり俺のことを知らないものはいないようで、俺が席に座っているだけでみんなにキョロキョロと見られてしまう。


 しばらく座って待っていたが、俺に声をかけてくるものはやはりいなかった。


 そして、時間が来たようで、照明が暗くなりステージに一人の男性が立つ。


 このディケニア第一高校の学長だ。


 彼は四剣神と関わることもあり、俺も過去に会ったことがある。


 さらに、俺に力がないと知っている数少ない人物でもある。


 学長はステージの真ん中で話を始める。


「入学おめでとう。ここはみんなの知っている通り国で一番の剣士学校だ」


 生徒たちは物音を一つも立てることなく、背筋をピンと伸ばして学長の話を聞く。


「剣士とはディケニアにとってものすごく重要な存在だ」


 学長はそう言って力強くスピーチを続けていく。


「この世界には魔族と呼ばれるモンスターが今も生息している。現在ではこの世界の半分の土地を魔族に取られており、魔族がディケニアを襲ってくることもある。その魔族たちからディケニアを守り領土を奪還することが剣士としての主な役目だ」


 剣士を目指す者ならば誰もが知っている話だ。


 学長は新入生一人一人に目線を合わしながら、ディケニア国に語り継がれている神話を話す。


「……およそ千年前。人と魔族の争いが続いていたときに、四種類の武器を持った英雄が現れた。長剣を持ったトリアード、短剣を持ったデーテ、槍を持ったケリュエン、斧を持ったルージュの四人だ。彼らは迫り来る魔族を圧倒的な力で退けて我がディケニア国を造りあげた。そして、その四人の英雄たちの武器と血は現代にまでずっと引き継がれており、四剣神としてこの国を守り続けている」


 その言葉とともに学長は俺を見る。


「っ……!」


 ふいに目が合ってしまい自然と唾を飲み込んでしまった。


 学長の言う通り俺は千年前の英雄から血が紡がれており、今持っている聖剣もずっと受け継がれてきたものだ。


 この神話を聞くと改めて俺は重要な立場にいるんだと認識させられてしまい、英雄としての力がないことが情けなくなってしまう。


 学長は俺から目を離して話を続ける。


「剣士は、長剣、短剣、槍、斧の四種類の武器を使って国を守る。我がディケニアの民だけが使えるスキルもかつての英雄が残してくれた賜物だ。君たちは英雄たちへの感謝を忘れることなく、ディケニアの平和のために本気で訓練に励んでほしい。ディケニア国は立派な剣士を育てるために膨大な資金を君たちに使っているので、少しでも怠ったりした者はすぐに退学してもらう」


 その言葉に生徒たちから息を飲み込む声が聞こえてくる。


 この第一高校は入学するのも難関だが、卒業することも難しく最後まで続くものは全体の半分しかいないという話もある。


「君たちはディケニアの民であることを誇りに思って力をつけてもらいたい」


 学長はそう言って話を終えた。


 彼はディケニア国への信仰がとても深いようだ。


 それは学長だけでなく、ほとんどの国民が四剣神の神話を強く信じて崇めている。


 もしも俺が弱いとバレたらどんな反感を喰らうかわからない。


 入学式が終わり、俺たち新入生はそれぞれが割り振られた教室に入っていく。


 自分の教室に入ると、もうすでに中には数人のクラスメイトたちがいた。


 そして、俺が教室に一歩足を踏み入れた瞬間、教室が一気がしんとした。


 時が止まった感じだ。


 数秒間が経って教室内は再び賑わいを取り戻したが、もちろん俺に直接声をかけてくるものはいない。


 教室には椅子と机がずらりと並んでおり、俺は決められた席に黙って座る。


 その席は一番後ろの席で、やはりクラスメイトたちに見られてしまう。


 四剣神が同じクラスなどやりにくくてしょうがないのだろう。


 俺も逆の立場ならば、四剣神に声をかけようなど決して思わないはずだ。


 しかし、これで助かった。


 クラスメイトと仲良くなって会話をするようになれば、すぐにボロを出してしまうと思う。


 俺のディケニア第一高校での高校生活は誰とも関わらず穏便に過ごすのが一番だ。


 窮屈で寂しい生活になるのは間違いないがこればっかりは仕方ない。


 教室には武器を抱えた生徒たちが次々と入ってくる。


 と、見覚えのある女子生徒も教室に入ってきた。


 ショートヘアをした四剣神のファンを自称するマナ・アレインさんだ。


 彼女はすぐに俺の存在に気がついた。


「トリアード様!」


 アレインさんは大声で俺の名前を呼びながら笑顔で駆け寄ってくる。


 周りは凍りついたような空気になってしまうが、アレインさんは俺のそばで嬉しそうに言う。


「やった! 一緒のクラスみたいだね!」


「そ、そうみたいだな……」


 俺は不意にやってきたアレインさんに対して再び動揺してしまう。


 まさか彼女と一緒のクラスになってしまうなんて。

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