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■ 弐拾 二〇〇五年八月十九日(金曜日) 午後一時三十二分
■ 弐拾 二〇〇五年八月十九日(金曜日) 午後一時三十二分
「じゃあ、母さんによろしくな。心配かけさせるんやないぞ」
「と、父さん」
「ん」
葬式の次の日には俺は家に帰ることになった。電車に乗る前に
「たまには・・・会いにきてよ」
「・・・そうだな」
どうして父さんと母さんが離婚したのか、俺にはいまだにわからない。
けんかをしてたってわけではなかったし、本当にある日突然に、二人は離婚した
からだ。俺の知らない事情もあったのかもしれないけれど。
「じゃあな」
「・・・父さん」
「なんだ」
「・・・ありがとう」
「なんか、あらためて」
「・・・」
変なヤツだな、と少し照れくさそうに父親が笑った。電車の出発するベルが鳴って
俺が電車に乗り込む。ずっと父親はホームにいた。
萬亀が俺のじいちゃんだったんだ・・・
萬亀はあのあと、どういう人生を送ったんだろうか。
・・・この時計は、多分、数馬のあの時計だ。
数馬の腕に嵌められなくなった時計。
じゃあ、数馬はどうなったんだろう。
・・・千鶴子は?




