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第6話 『黒い逃走者』

「ちんちくりんだ!」

 俺の姿を指差し、ミーナとミルコは笑い転げている、街長にもらった旅人の服に着替えた俺の姿は上着もズボンも7分丈、まるで洗濯失敗したみたいじゃねーか、困った。


「ユウキにはお似合いよ」

 ミーナは笑いを押し殺していうが、こらえられず笑いやがった。

「ぶっわはははははははははは!ちょーうける~」


「笑ってるじゃないかよ!」

 こいつ、いつか埋めてやる。


 さっきまで笑っていたミルコは自分の武器を磨き始めている、こいつは相変わらずマイペースを決め込んでいる…


「ミルコ、その武器はどこで手に入れたんだ?」


「この武器はアルペジオと同じで我が家の伝統だ、パルチザンは骨をも砕く、実際はまだ戦ったことはないけどな」


「おいおい、感じてたがホントに騎士なのに実戦はないって事か?だから負けてもないって事か?」


「そうだ、だから人生無敗だ!」


 頼りにしていた、負け知らずのミルコの秘密を知ってしまった、これで益々先行き不安に陥った……何はともあれ武器を取りに行かなければ始まらない、やはり主人公は俺なのだ。


「ミーナ、とりあえず小さい竪琴を買いに行こうぜ」


「それならこの街に武器商人がいるわ」




 早速俺たちは武器商人の元へ向かうことに。


「いいじゃないか、この剣」

 俺はいかにも切れ味の良さそうな長い剣を手に取った、店員はすかさずセールスしてきた。

「こちらは金5000ルイスになります、もっと良いのがございますが」


「あいにく貰った5000ルイスしか持ってねーんですが」

 これを買ったら蛇の所に行かなくていいんじゃね?

「ちょうどじゃん!これ買うわ!」


「ユウキ!竪琴を見に来たんでしょ!剣は取りに行くのよ!」

 またミーナとの言い争いが始まった。


「蛇はイヤだ!これを買う!」

「ユウキバカなの?私の竪琴を買いにきたんでしょ!」


 ミルコはというと、自分の槍と店の槍2本を手に取り見比べて2人には知らんぷりのマイペース…

「私も新しいの欲しいな~」


「お前の槍、伝統があるんじやなかったのかよ!」

 言い争い中にミルコにもつっこむ。


「伝統はあるが、思い入れはない!」


 そんなのどうでもいい、それより剣を買えば、爬虫類のとこに行かなくていいじゃないか、こいつらに付きあってられねー。


「ユウキ!ちょっとは女性の事を思いやったらどうなのよ!」

 こんな時だけ女性女性って言いやがって貧乳詩人が!


「ちっ、貧乳詩人!仕方ない今日は諦めてやるよ、店員さん竪琴ありますか?」


「貧乳詩人ってなんなのよ!」

 ミーナは膨れた。


 仕方なく竪琴の事を店員に聞いてみるすると、店の奥から大きな竪琴を引きずってきた。

「こちらになります」


「ミーナのとおんなじじゃないかよ!」

 俺はすかさずつっこむ。


「だってここで買ったもの」


「それを早く言え!」

 ここに来たのは無駄足だった……それからしばらくいろんな武器を眺めたり、手に取ったり、目新しいものはなかったのでひとまず帰ることにした。



 家への帰り道ミーナは俺に言った。

「いつ、剣を取りに行くのよ?」

「作戦もなんにも考えてないし、大蛇がどんなのかも分からないから下調べをしてからな」

「もう少し詳しく街長に聞いてみたらどうかしら?」

 その一言で家に向かわず、街長のところへむかうことにした。



「こんにちは、ユウキです」

 街長の家の扉を叩いたが返事はない 二度三度と叩き呼ぶが、返事はない。


 ガチャガチャ!

 留守なのかとノブを回すと扉は開いた。

「お邪魔します、ユウキです」

 薄暗さが少し俺とミーナをおどおどさせる、それと対象にミルコはいたって普通でマイペースだ。


 扉の向こうにも誰もいない、さらに家の中へ中へと進む。


「こんにちは、誰かいますか?」

 相変わらず返事はない、ミルコは怖がらずそのあとに服の裾を掴みながら恐る恐るミーナが続く。

 ひとつ目の扉の前で止まる、後ろから付いてきているミルコが扉をいきなり開けた。


「まて!」


 俺が叫んだ時にはもう扉は開いていた。

「何があるか分からないからいきなり開けるなよ!」

「はい!ユウキ殿!」

 敬礼するミーナはお調子者だ。

 そこには棚に並ぶ沢山の書籍、俺はほっとした、変わった物はなさそうだ。

 次の部屋へと向かう、扉の前で立ち止まる、ガチャ!またまたミルコが扉をいきなり開けた。

 マイペースすぎるだろ!

「だからおい!ミルコ聞いてんのか!二回目!二回目だからな!もうやんなよ!」

 悪気もなさそうにヘラヘラと笑うミルコ、2つ目の扉の中はトイレだった。

 またほっとした、3つ目の扉の前、ガチャ!またまたまたミルコがいきなり開ける。

「おい!だから!ミ、うわっ!」

 驚いた、いきなり子供位の大きさの黒い何かが扉の隙間から逃げていった。


「今のなんだ?」

「Gじゃないの?」

 部屋の中には街長が倒れている。

「街長!大丈夫か?ミーナ回復魔法を」


「だめ竪琴がないわ!」


「役にたたねー魔法だな、急いで街長を家まで運ぶぞ」

 俺がおぶって家に向かう、ミーナが顎に右手を当て斜め上を見ながら呟いた。

「ねーユウキ、さっきの黒い物は何だったんだろうね?暗くてよく分からなかったわね」


「今は考えてるヒマはない、あとで街長に聞いてみたら?」


「それもそうね、急ぎましょ」


 家に着きミーナの竪琴の音色で回復に向かう街長、ミルコは窓からアルペジオに人参を食べさせている。


 街長が目を覚ました。

「ミーナさん助かりました、ありがとうございます」


「街長、一体何が起こったんですか?」


「あの部屋に入った途端なにやら黒い物体に襲われたんじゃ、それはなにかわらんのじゃ、驚いて倒れた時に頭を打ったみたいでの」


「猫かなにがじゃないの?」

 ミーナは簡単に言う、さすが楽観的だ。


 確かに黒い小さな生き物らしき物が走り抜けていった、今度詳しく調べてみることにした。

「今日の物体は今度しっかりと調査する事にして、街長、大蛇について教えて欲しい、攻略方法はあるのか?」


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