第5話 『オーラ』
皆はミーナの家に戻ることにした、お喋りをしているミーナとミルコの後ろで考えながら街中を歩く、ミルコの手の甲を見る、確かにこいつはデュエルナイト、この街に来るまで魔物にはやられていないのか、本当は強いのかもしれない…不安な気持ちと戦っていた、ずっと考えていた。
こいつらと仲間になっても足手纏いになるのは見えてる、長旅になるかもしれな……
「自分を探しますかっ……」
「さすがユウキ、こうでなくっちゃミルコちゃんも一緒にね」
調子乗りのミーナは今までないくらいにはしゃいで浮き足立っているし、ミルコは中二病だ……先が思いやられるぞ。
「私が倒せない悪魔や魔物はいない、アルペジオとコンビを組めばこの世最強だ」
ミーナは以前ロバをなだ宥めたときの俺が言っていた事を思い出し、俺の顔に顔を近づけてニヤリと言ってきた。
「そういえばユウキ、竪琴を楽に運べるようにしてくれるって言ってたわよね?ねっ?」
「あー言ったよ、それより肩から掛けられるような小さい竪琴は無いのか?」
「あるわよ、でも高いのよ、私が買えるのはこれが精いっぱいだったのよ」
「じゃあ、改造してやるよ」
日曜大工くらいしかできない俺にできるのはそれほど多くはない、竪琴を馬小屋に運び、トンカントンカン改造し始める、突貫こうじだ、こいつにはこれがお似合いだ、それはただ竪琴の下に簡単な木製タイヤを付けただけ、まるで赤ん坊が引っ張る大きな木製アヒルの玩具のよう。
「なんなのそれ、みすぼらしいったらありゃしないわね」
ミーナは大笑い。
「これで非力なミーナでも簡単に運べるだろ、旅にでれるってもんだ!」
「ダサけど~、無いよりましね、仕方ないわね、我慢してあげる」
なんだよその言い方は、でも今は呪文は使わないようにしているって言ってたくせに俺は不満だ……
「まーいいじゃない…」
「なんだよ、使かわないと旅に出れないだろ」
「そうよね…」
「旅の前にミーナのステータス見せてくれないか?」
「いいわよ」ミーナは指ぱっちんをぱっちんとならす。
ミーナ LV10
『獲得スキル』
竪琴 LV10
オーラ LV10
『所持品』
『所持金』
0ルイス
「なんだたいしたことねーなあまり善行してないってこった」
膨れるミーナ……可愛いじゃないか……だめだ惚れてまうとこだ……
俺は伝説の剣や道具の話を思い出していた、ミーナは街長が言っていた、伝説の剣ってし知ってるのだろうか……
伝説と言ってもそんなに知られてない、ずっと大切にどこかに保管してあるってことなのか…いつくれるんだろうか、とりあえず戦いやすい服装に変えなければならないし、武器や防具、さらには新しい魔法も覚えたい。
家の扉を叩く音がする。
「こんにちは、誰かいるかね?」
「は~い、誰かしら?」
ミーナは扉を開ける、そこには街長が数人の無骨なお年寄りを連れてやってきた、きた!これは剣を譲り受けるイベントだ!
「ユウキさん、伝説の剣を覚えていますかな?」
キタキタキタキタ!!
「あ~くれるって言ったこと覚えてますよ」
「そうじゃ、まずは剣に似合う服装に着替えなさい」
街長の隣のお年寄りが服を差し出した、その服は鎧や鎖帷子のような服ではなく、いわゆる普通の白い長袖シャツに茶色の普通の長ズボン、いわゆる旅人の服か……初期装備じゃないかよ、まさか剣も初期装備の棍棒か……
「そして、これは復活草少々と旅の資金5000ルイス、お役にたてるかな伝説の剣は今から取りに行って欲しい」
「これだけありゃ~新しい小さな竪琴買えるんじゃないか?」
ミルコはパルチザンの槍を持っているし、俺は伝説の剣を取りに行けばいい。
「それもそうね旅の途中で買いましょ」
新しい竪琴それだけでミーナは嬉しくワクワクが隠せず鼻歌を奏ながらダンスを踊っている。
「さっきなんて言った?剣は取りに行く?剣はもらえるんじゃなかったのかよ~そんなことだと思ったよ……」
すぐに剣を手に入れられると思っていた俺はは意気消沈うなだれた、話が違う……それに対して街長は……
「授けると約束した、そのありかはこの街の長に代々言い伝えられてきたんじゃ、三百年前から封印してある伝説の剣を裏山の洞窟へ取りに行ってきて欲しいのじゃよ」
「裏山って、俺が行かななくてもいいじゃないか、誰か取ってきてくれよ」
「その剣は封印を説いた者しか扱えないんじゃよ、だからユウキさん、あなたが行く必要があるんじゃよ、しかも封印した剣のあるそこには、ビブラビという大蛇の魔物が住んでおる、そいつを倒さねばならぬのじゃ……」
俺のさっきまでの威勢は全くない、それどころか今まで平穏な日々を過ごしていたのに、生死をかけた争いに巻き込まれるのはイヤだ、伝説の剣なんかいらね~旅にも出ね~、死ぬのはゴメンだ!爬虫類もキライだ!
「お前等で行ってこいよ」
ミーナとミルコに大役を押し付けようとして指さしてやった!
「そこにある剣は男性にしか引き抜く事ができないんじゃ」
「しゃあ、じじい!お前が行けよ!」
「それはむりじゃ、伝説の剣は童貞を好むのじゃ」
「なんじゃそら!たしかに童貞だよ!童貞なんか他にいるだろう他にも!」
「ユウキさん、あなたにはこの世界にない、オーラが漂っておる、必ず救世主になりうる黄金のオーラじゃ」
「この俺がか?」
その一言に心がけ揺らいだ……やはり異世界で人間は特別な存在なんだよ…スーパー能力全開てやつか
「はい、そうです、オーラがすごいのですよ」
ミーナは俺の周りを犬のようにクンクン嗅ぎながら一周して言う。
「全くそんな感じしないわ、香りもない、腐ってもない」
「何言ってんだよ!香りで何が分かるんだよ!」
「ひとつ言い忘れてたわ、私はオーラを嗅げるのよ、オーラには香りと記憶が宿っているのよ」
「なんだその特技、いらね~つかえね~」
見かねた街長が間に立ち入った。
「ミーナさんにも嗅げない、すごいオーラなんじゃよ!」
「まじか?そこまで言うなら、行ってやってもいいけどよ」
「ひとつお願いがある!剣技を教えて欲しい…」