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第4話 『バージン』

 近くの少し大きな飲食店についた3人、周りには先ほどの戦いを見ていた沢山の客が我の事のように祝っている、酒を飲むもの、大きな肉を食らうもの、大声で騒ぎ酔っぱらっている者や乾杯する者で賑やかであった。


「すごかったな、一瞬でミーナさんは魔物を手懐けるなんて、昔から人と違う物を持ってると思ってたんだよな~」

 そんな会話があちらこちらから聞こえてくる、それを聞いているミーナはなんだか誇らしげだ。


 3人は客をかき分け、店奥の席に案内されユウキと対面に女戦士とミーナが着席する。


とりあえずドリンクと何か適当な食べ物を適当に注文し、店員が去っていくと、俺はいきなりミーナに向かって指差して言ってやった。

「お前処女だろう!女戦士お前は処女ではないな!あのロバをなだめるなんて処女にしかできない」


 ミーナと女戦士はじわーっと赤面しながら反撃してきた。

「なんて事を言うのよ!」

 言葉がシンクロした2人は顔を見合わせた…見たところ2人して処女のようだな……


「あなた失礼ね、まだ少女なんだから当たり前でしょ、どうして分かったのよ」


「認めたな、伝説の生き物ユニコーンは処女の腕の中では大人しくなるって昔から言うからよ、試してみたんだ、だから角の生えたロバを大人しくさせられたお前は処女だ!」

 さらに大きな声で隣に座る女戦士を責めてやった

「そして、女戦士お前は処女ではな~い」


「私の相棒はロバではない!今は子馬でも、いずれ大きくなり立派な馬になるこの世界を縦横無尽に駆け巡る、そして私の騎士としての戦闘能力を高めてくれる相棒だ」

 更に赤面し、何やらモジモジしながら小声で

「それと……私も処女だから……」


 その間もミーナは恥ずかしそうにずっと俯いてたが、何か思いついたのか、いきなり両手で机をバン!と叩いて立ち上がった

「ユウキ、そういうのセクハラよセ・ク・ハ・ラって言うのよ」

 図星だ図星をつかれたミーナが反撃してきやがった。


「なんでだよ!いっその事あのロバ、ミーナの相棒にしたらどうだ?」


 そうミーナに言われた女戦士は焦っていた……


「バカ!あれは私の相棒だ誰にも渡さん!そ、そうだ、なだめてくれたお礼に君達2人のパーティーに入ってやってもいいぞ、いや、むしろ入れてくれ私とこの馬は役に立つ、必ず役に立つ」


 おいおい、入るもなにも、俺達パーティーでもなんでもない、だから無理だろ


 隣で飲んでいたお酔っぱらい客が、俺達の話を聞いていたようでテーブルの前まで来て話しかけてきた。

「組むべきだ、ミーナさんなら悪魔をやっつけられるんじゃないですか!いっそあなた達パーティーで討伐にどうだ?みんなどう思う?」


 店中の客が立ち上がり皆が賛成したように言う。

「そうだ、そうだ」

「頼むよ~ミーナさん!」


 そんなミーナはますます調子に乗ったようで、座っていたイスの上に立ち上がった。

「みんな、分かったわ~ユウキとパーティーを組んだら戦えそうな気がするわ、ねっユウキどう、パーティー組まない?」


「イヤだこの調子乗りが」俺は即答…


「なんで?なんで?街の人もこう言ってるじゃないの」


 わかったよと言う即答を期待していたのだろうか、そんな答え出すわけ無いだろう……


「あんな大きな竪琴を持ち歩いて戦いなんかムリだろう、しかも回復呪文と毒消し呪文しか知らないんだろ」


 ずっと黙ってやりとりを聞いていた女戦士が言ってきた。

「大丈夫だ、先ほども言ったが私は女戦士ではないが、代々伝わる由緒ある馬を操るデュエルナイトだ、お供させてもらう」


「だめだ、俺はいやだっ!よーく考えて見ろよ、俺はなんの特技もないタダの高校生だ、ミーナは攻撃すら知らない吟遊詩人、女騎士は無敗だろうが、無戦だろう!戦える要素が見当たらない」

 

 思いっきり言ってやった、こるまでかというくらい言ってやった。


「そういえば女戦士、お前の名前を聞いてなかったな」

「私はミルコ、何度も言うが女戦士ではなく由緒あるデュエルナイト、馬に乗るナイトだ」


 知らないようだから教えてやる……


「ミルコあれは馬ではないぞ、角の生えたロバだ、どこから見てもロバだ」


「ロバではない子馬なのよ、そうだ、馬の名前はアルペジオだ、よろしく。」


「ロバでもポニーでもなんでもいいが飼い主を襲うなんて役に立たんぞ、手放してしまえ」


「それはムリなのだ、我家に代々伝わる馬なのだ」


「わかったよ馬っ()()()にしといてやるよ」

「ってことて、どういうこと?」


「5年経っても10年経ってもあの姿のままだよ、それもそのうち分かる」


 そこに話を聞いていたのか、この街の長が現れた。

「それでミーナさん、パーティーは組むんですか?もし組むのであれば手助けしますよ」


 少し下心を隠せず俺はにやついた顔をして両手のひらをゴマをするように擦りながら下から見上げた、街長の手助けとは何をしてくれるんだ……旅に出るには先立つものや、アイテムも必要だよな、しかもまだブレザーの学生服着てるのもおかしいな。


「たんまりと準備が必要、だからムリですよね~」


「それもそうよね、ずっと変な服着てると思ってたのよ」ミーナもうなづいた。


「これが俺の国の学校へ通う為の正装なんだよ」


「わかりました、我が街の認知度が世界に轟くであろうし、この町に伝わる伝統の武器と防具、道具を授けましょう」街長はのっかってきたではないか。


 伝統ある武器と防具という言葉に大きな想像を膨らました、エクスカリバーのような剣、アイギスの盾か?期待をしてしまう。

「わかったよ、この世界を平和にできるかなんて分からない、パーティーを組むのは悪魔を倒すまでだ、そしてそれが終わったら俺は暮らしやすい街を見つけ『うるりん』とゆっくり暮らす、それが条件だ、ゆっくり過ごす家も用意してくれよな」

 結局このメンバーとパーティーを組むことになるはめになった……。


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