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第12話 『へなちょこ召喚師』

 いつもの朝がきた、あえて昨日と変わったといえば、大好きな『うるりん』が仲間に加わったこと、残念だが俺にはオーラが無かったと言うこと、そして今ミーナとうるりんがいないことに気づいた。


「おいミルコ、うるりんとミーナはどこに行った?」


 ミルコは少し、深い胸の谷間が露わになったはだけた姿の寝巻きで起きてきた、俺はこういうの好きだ、とてつもなく好きだ……

「知らないぞ、私も今おきたところだ」


「その寝巻き直せよ」

 全く心にもないことを言ってしまった……

 目のやり場に困ったが、ちらちらと見てしまったまー思春期だから…そこにミーナとその肩に乗ったうるりんが話をしながら帰ってきた。

「ああ見えてもお兄ちゃんは優しい人なのですよ」


「どこに行ってたんだ?」


「朝食を食べに行ってたのよ」


「俺達も起こせよ!」


「だってお兄ちゃん幸せそうに寝ていましたから」


「俺はいつもどんな寝顔してるんだ」


 ミーナはクスクス笑いながら俺の寝姿を言いやがった。

「そうね、いつもニヤニヤして寝てるわよ」


「ここの宿、朝御飯はあるみたいですよ」


 俺は朝御飯を食べないことにして、今日の予定を考える。

「ところでこの街はなんて言う街なんだ?」


「宿の名前、ダンガルシアの宿って書いてたわよ」


「おいおい、ダンガルシアなのかよ、昨晩は気付かなかったな、怖い寄り道もあったが結構早く着いたじゃないか、今日は鍛治職人の元へ行くぞ、とっととこのダインスレイブとやらを売っちまおうぜ」


 ミーナはワクワクそわそわしている、それを売却したお金と所持金で竪琴と新しい剣を購入する予定だからだ、あっさり封印していた魔法を使ったことも、もう忘れたようだ。

「あーこれでやっと小さな竪琴が手に入るのね~」


 ちゃんと釘を刺すことも忘れない。

「買ってやるから、それなりの仕事をちゃんとするんだぞ」


「いつだって分かってるわよ、ただ今の竪琴が重いのよ、今度からはちゃんと活躍するわよ」


「お兄ちゃん、私にも何か買ってくれるのですか?」


「そうだな、できればその小さな身体が大きくなる魔法とかがあればいいんだけど」


「それはこのままでいいのです、うるまはお兄ちゃんの肩に乗るのが好きなのです」


「そうか、なら他の物考えないとな」




(ダンガルシア武器・鍛治職人の店)

 宿で聞いた鍛治職人を訪ねることにした、鍛治屋には屈強な店主、職人という感じの親父さんがいた。


「いらっしゃい、お兄さんいい剣を持っていますね」

 早速腰に付けている剣に気づいた様子、腕がいいという噂は嘘ではないのかもしれない。


「あーこれを売りに来たんだ、いくらになります?」


「よろこんで買い取りますよ、がしかし物騒なダインスレイブですな、名剣の1つですが、純度の高い魔鉱石を手に入れられましたら、さらなるダンガルシアの名剣に加工してあげますよ」


「魔鉱石?どこで手にはいるんですか?あと、小さな竪琴もいただきたいのだが」


「竪琴はご用意いたしましょう、ただ魔鉱石の採掘権は国王が全てを握っておる、お会いしてお願いするしかありませんが」


「国王はどこに?」


「ここより東の王都シスタントを知りませぬかな?ですが国王には簡単にはお会い出来ませんよ」


「会える方法はないんですか?」


「さー私もお会いしたことはありません」


「お会いするためには、いろいろ条件が必要かもしれませんな」


 俺達は小さな竪琴を購入し王都シスタントに向かうことにした、またミーナが手綱を握る馬車の旅が始まったのだ。


「こんな小さな竪琴はじめてよ、馬車にも乗れるようになったじゃない」

 ミーナは嬉しそうだ、しかも馬車に3人乗ってもまだ乗れそうだ、ただ引っ張るアルペジオの事は心配だが…平気な顔をして普通に引っ張っている。


「竪琴が変わるとこんなにも違うじゃないか」

 背丈ほどあった竪琴が5分の1位の大きさに小さくなり肩から背負えるようになった、うるりんはというと、馬車の屋根の上に乗って見張りをしている、そして手綱の引き手を交代しながら2日は走った。


「お兄ちゃん、行く先の入江の周りに大きな街が見えます」


 そこは大陸の端の入り江なのか大きな海が広がる海辺の街だった。

「あれがシスタントの街だな」



 俺達はシスタントに到着し街門を入ると、多くの人だかりを真っ先に見つけた、その前には立て看板がある。


「ねーねーなに?」

 相変わらずお調子者のミーナは興味深そうだ。


『緊急・魔獣討伐者求む、報酬1万ルイス、国王ケルマ』


「早速国王に会う方法を見つけたな、城に向かおうぜ」


「手間が省けてよかったですね、お兄ちゃん」

 城は白く大きい、街のどこからも見える、街を見渡せる高台に堂々と建っている、到着すると討伐希望者が1人だけ待っていた、前に並んでいる、大きな水晶玉の付いた杖を持った銀髪の少女が癖のある話し方で声をかけてきた。

「あにゃた達はパーティーで討伐希望なの?」


「あにゃた…そうです、あなたは?」

 何かを知っているのか、ミーナは銀髪の少女を見て驚いている。


「魔獣っていうのはどんな奴ですか?」


「おそらく最近魔王魔が放にゃったとも言われる魔獣魚(まじゅうぎょ)ドルゴンでしょう」


「はにゃった…ドルゴン?」


 ポケットからひょこっと顔をだしたうるりん。

「お兄ちゃん、うるまは昔の世界で倒したことあります」


「まさか同じじゃないだろーとりあえず簡単に国王にお目にかかれるてのはありがたい」

 国王の元へ案内された。


「ケルマ様、魔獣討伐希望者が5名参りました」


 けっきょく並んでたのは俺達だけだったのかよ……


「勇気ある者達をこちらに通すがよい」

 やはりこの大陸の主、国王は威風堂々とし気品があった。


「諸君たちが魔獣討伐に手を挙げてくれたのは頼もしいただ突如現れたドルゴンは強い、力を合わせて戦うのもよし、それならば報酬を分けるがよい」


 話によると、ドルゴンはある日突然、空にできた六芒星の魔法陣から現れたのだと、その理由も強さも不明のままこの街の領海で漁師を食い散らかしているらしい、なんか俺と似てる……


「魔獣は海中これはやっかいだな…」


 なにやら俺達の後ろで、ひそひそと話声がする、杖の少女とミーナが小声で話しているようだが俺にはしっかり聞こえている


「リュナ、あなたここで何してるのよ、他の大陸で修行するって言ってたじゃない、相変わらず滑舌も悪いし…」


「ミーナこそ、お、おじいちゃんはどうしたのよ」


 こいつらは知り合いか?職業が違うからなのか、身なりは違うが、顔はよく似ている、もう少し話を聞くことにしてみる。


「これも修行なのよ」


「私はこのパーティーと魔王討伐に出かける事にしたのよ、もしかして、あなたまたやらかしたんでしょ?」


 銀髪の少女は少し慌てた様子、俺はやらかしたという言葉を聞き逃せなく、たまらず話しかけた。


「おい、お前達知り合いなのか、やらかしたとはどういうことだ?」


 ミーナは黙っていたかったのだろう、話さなかったが、少女がやらかした事には触れずに口を割った。


「私達、双子の姉妹なのよ!」


「えぇー!!!」


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