王都へ
「ふう……こんなものか」
しばらく同じ方法で近くのスライムやウサギに角の生えたモンスターを討伐して俺はレベル5になっていた。
スキルポイントをすぐに使おうかと思ったのだが、一番初級の火魔法ですら20ポイントも必要だった。
おそらく種族によって戦士や魔法使いに対する適正があるのだろう。
うんこに適した戦闘スタイルがまだ定まっていないので保留してまずは情報を集める事にした。
「よし、街に戻ろう」
食われながらでしか敵を倒せないので身を削りながらの戦いとなる。
最初のうちはレベルアップの恩恵でどうにかなってきたが、そろそろ宿屋でHPを回復させないとどうにもならない。
~王都城門前~
城門の前では都の入ろうとする人たちが列をなしていた。
そんな中で俺は……
「あっぶね、踏むとこだった」「おい、なんか匂うぞ?」「ちょっと、誰だよこんなとこにうんこしてったやつは!」
並んでいる間ずっと、周囲の人達から腫物のような扱いを受けていた。
他はぎっしりと列をなしているのに、俺の周りだけ空間が出来ている。
そして、俺の番がきたところで衛兵に止められてしまった。
「なんだきさま!? ス、スライムの変種か!?」
槍を向けられたが、争うつもりはない。俺は極めて冷静な口調で言った。
「待ってくれ! 怪しいものじゃない。
ただの…………うんこだ」
すると衛兵は槍をもとの位置に戻して言った。
「なんだうんこか。よし、通れ!」
こうして俺は通行料を払わずに王都に入る事が出来た。
中世のヨーロッパでは水洗トイレが普及しておらず。民衆は窓からうんこを投げ捨て、道にはうんこが溢れかえっていたそうです。現代日本だったら絶対に通してもらえなかったでしょうね。