捨てられるクソ野郎
「さて、それでは勇者よ。貴様は魔王を討伐するために旅立たねばならぬ。始まりの平原まで連れていくが、その後はどことなり好きなように行くがいい。だがこれは密命である。決して自分が召喚されし勇者と吹聴する事はうんたらかんたら……」
「ちょ、まてよ!」
なんか話を進めようとしたので急いで遮る。お前魔王がどうのこうのとか言う前にこれ大問題だろうが。
「…………うんこじゃねぇか…………」
「……………………」
ふざけんなよ。お前これ指一本動かせないとか言う非常事態なのに、それすらどうでもよくなるくらいに自分の匂いとかどうなってんのか気になるってただごとじゃねぇぞこれ。
「失敗したのか……? お前らが失敗したのか? そうなんだろう?」
「……………………」
「おまえら……そりゃなぁ。異世界転生で全然が全部ハッピーな出だしじゃない事は知ってるよ? ブサメンのおっさんが主人公のやつだってあるよ?
でもおまえそういうやつだってなんだかんだ言って可愛い女の子でてきてすぐヒロインでてくるだろ?
おまえこれどう責任とるんだよ。ここまで何の希望も持てない異世界転生はじめて見たぞコラ」
最悪だよ。だってこっから無理やりヒロインでてきて「わたし、う〇こだーいすき!」とか言われたら逆に俺がひく自信あるもん。
「やり直せよ……! こんなんクソ過ぎんじゃねぇか……転生したらうんこじゃねぇか!」
「やかましいわ!」
宰相らしき男が逆ギレする。ふざけんな。全ての世界において俺以上に怒る権利があるやつがいるか!
「流石に可哀想だと思って人が下でに出ればつけあがりおって! もういい。このうんこを捨ててこい。いいか。自分が召喚に失敗された勇者だなどと触れ回れば今度こそ命はないと思え!」
ザッ
衛兵らしき男がバケツのようなものとちりとりのようなものを持って近づいてくる。
「ふざけんな! まだ話は終わってねぇぞチクショウ!」
抵抗したいが何も出来ない。
「さわんじゃねぇ! この、くっそ!!! くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
そして俺ははじまりの平原に捨てられてしまった。