プロローグ
強くなった状態から見たい方は9話へ直接GO。ストーリー的には問題ありません。
~ウンコック聖王国。召喚の間~
その日、宮廷に衝撃が走った。
「あ、あれはまさか……」
「きゃぁぁぁ!」
「いやぁぁぁぁ!!」
青白く輝く魔法陣、その中から現れたモノは……その名を口に出す事も憚れるおぞましい姿をしていた。
「はは、は、は……」
召喚した宮廷魔術師は乾いた笑いをあげている。もうどうにでもなれと言った感じだ。
「もう、人類はおしまいだ……」
若い貴族ががっくりと膝をつく。
王の御前だと言うのに恥も外聞もなく投げやりとなる貴族達を見て、ウンコック王もまたがっくりと大きく項垂れた。
「もはや人間以外の者が召喚される事にも慣れてきたが……とうとうこのようなものまで召喚されるようになったか」
人類は窮地に立たされていた。
彼らは貴重な魔石を使い、異世界から勇者を召喚して魔族に対抗していたが、最初の4人がまずかった。
4人の勇者のうち、緑の聖女と呼ばれたユーリコ。
彼女は人類の希望と称され、民衆から絶大な人気を得た。
それをうまく利用しようとした男がいた。同じく4人の勇者の1人だったセージである。
セージはユーリコを殺し、彼女の人気を乗っ取ろうとした。
だがユーリコを殺したセージに民衆の支持が傾くはずもなく、彼はそのまま姿を消した。
同じく4人の勇者のうちの1人。シーホリーは交通費は支度金として支給されると言う話を聞いて
地球3周分の馬車の料金を請求し、人類の財政を圧迫させた。
そして最悪だったのが4人の勇者の最後の1人……ユッキオである。
彼は魔族との友愛をかかげ、話し合えばわかりあえると主張した。
のちに「トラストミーの悲劇」と呼ばれる人類の一大事件。
ユッキオは魔族を人類の領地に引き入れ……人類は壊滅的なダメージを受けた。
悲劇は繰り返される
実力主義をかかげて兵士たちを全て非正規雇用にし、治安と規律を壊滅させたたジョンイチロー。
魔道研究所を爆発させてクシマールを死の都へと変えたチョクト。
そのほか様々な召喚されたクソ野郎どもが人類を窮地においやった。
召喚には魔石が必要となる。
質の良い魔石を使えば強力なスキルをもった勇者を召喚出来るが、人類は徐々にその蓄えを失っていった。
質の悪い魔石を使えば貧弱な勇者しか召喚出来ない。
徐々に一般兵に毛の生えたようなスキルしか持たない者たちが召喚されるようになり……
そして今日、最弱のスキルをもった勇者が召喚されたのだった。
それも、どんなブ男もかなわないあまりにもモテなさ過ぎる容姿と共に……