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著者人生進捗表  作者: 中下男
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あの日と比べて

2017/10/21(金) 深夜


惰性で聴き続けているラジオ番組を流し、一日を省みる。

十時に起きる。思考を開始する前にもう一度布団に潜る。十二時にしっかり起床、履歴書を午前中に速達で出せば間に合うことを思い出し、間に合う可能性があることに安心だけして諦める、いつもの危機感の無さを自覚しつつ朝食と共に呑み込む。何を食べたかは覚えていない。とりあえず寒いので布団に逃げ帰り携帯でアニメを観る。PCは壊れて三週間ほど、たまに動くからといって壊れていない可能性を信じて、こちらも放置されており、小さい画面で観る最近である。

シャワーを浴びると家を出る時間で慌てて着替える。そういえば今日この時間電話する予定だった。アメリカにいる彼とは時差12時間程度あることと、お互いルーズな性格のおかげで予定を立てても流れることが多い。でもさすがに何度も流れたので今日はしてみる。三週間前に出したシャツとコートを近くのクリーニング屋さんに取りに行き、電話すると出ない。二度目も出ない。よしまた今度。

すぐに折り返しがあり応答する。お互い直近の現状を知らせ、本人からすると本題らしい英語学習に対する上昇志向を聞く。こういうすぐ折れるであろう何十度目かの本気を私はしつこく応援したい。日常会話は問題なく本人の学ぶ姿勢もあるので、知らないジャンルの言葉、特にフォーマルな英語に触れる機会を作るよう伝えた。毎度期待もしていないのについてくるオチだが、今回は彼の意気込みを買ってホームステイを承諾してくれた教授に、マリファナの匂いが原因で追い出されることになった話である。開き直るどころか出て行く寂しさと面倒臭さに興じる、悪びれないところは彼の美点である。

電車に乗るとタスクに追われていた最近と違い、一時間も車内で時間を持て余す。ということもなく連絡や調べ物で潰れる。現場である秋葉原に早く着いてしまい履歴書を進めてみようと喫茶店に入る。ライターを忘れたらしく、隣の殿方に借りる。一服していると残り5分となり、しかし焦ることなく下書きを一行進める。おそらく焦るべきだった。

時間丁度にはもう二人とも待機しており、一人は以前見た厳しさと元気さが際立った小さい女性スタッフだ。話してみると愉快な一面が覗けて良いものを見た気分になるが、ノリが悪くなった自分に焦りを感じる。後から来た社員は打ち合わせでの温厚さとは裏腹に、ミスの指摘から仕事に対する姿勢の否定に入る程の我の強さを見せる。しかし言い過ぎたと感じたのか、教えていないが行えている詰め方を褒めにくる。こういう罪悪感由来の無意識的な飴と鞭が私は大好物である。これもまた予想通り、ルールに厳しい女性と我を通すその人は何度か衝突し、業務後の撤収に気まずさを引きずる間柄だ。

帰りの電車では圧力が目に見えるような満員電車で座れたことに安堵し、今もギュウギュウに詰められているかもしれない元恋人に脈絡のない労いの連絡を入れる。しばらく連絡しないと息巻いていた手前、恥ずかしさを紛らわすため友人に必要のない連絡を連投してみる。帰り道に行くことはないだろう気になっていた中華料理屋に入る。無駄に食材の在庫を心配しつつ五目ワンタン麺を食べる。特別おいしくもないがさっぱりとしてお腹いっぱいになり、また人のライターを借りる。

帰宅後はラジオを聴きながら家事をこなしつつ、ダラダラと今に至る。途中スーパー銭湯へのお誘いを断ったが、こんなもの書きこんな時間まで起きているなら乗っておけばよかったとは思う。またこちらから誘おう。寝る。

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