第四章Ex3 『四天王―魔女―』
【2017年12月2日改稿。読みやすくしました。内容の変更はありません。】
魔王の動きとビーストを抑え込んだ報せは、魔界四天王にも魔王からの書面が送られ、説明がされている。
魔界にある魔女の領域――恐ろしく深い峡谷。
その崖っぷちにいくつもの塔が並んでいた。
中でも異彩を放っているのは、峡谷の真上に浮かぶ空中学園。その場所にも今回の件は届いている。
四天王の中で最も力のある魔女。
魔女は女性の魔物のみで構成される勢力で、彼女達の武器は卓抜した知力だ。
領域となっている峡谷には塔の形をした図書館が建ち並び、空中学園では知識を高めるべく毎日講義が行われている。
そんな集団をまとめているのは、学園の全生徒による選挙で当選した学長と、学長が任命した教員組織。
学園の学長室にも、今まさにビーストの件が報告されていた。
「ビーストを抑え込む。あの魔王にしては、随分と計画的な手法ですね」
学長は首席の証である黒の帽子と、眼鏡が印象的な女性。彼女はウィッチと呼ばれる種族の魔物で、その正体は知識への渇望から魔物へと身を落とした元人間だ。
ウィッチは魔王からの書類に目を外し、他の教員に視線を送る。
「どう思われますか? ウンディーネさん」
話を振られたのが水の肌を持つ教員の一人、ウンディーネ。
彼女はぼやぁっと天井を見てから口を開く。
「今回の方法ぉ、ケンタウロスのサインがありますからぁ、追及は困難ですかねぇ」
「そうですね。彼らも所詮は獣。武器を使えば強くとも、会談のような論戦では無能ですから。メデューサさんは、どう考えますか?」
この場にいるもう一人の教員メデューサは、笑顔を浮かべて意見を述べる。
「おほん。わ、わたくしとしては、少し調査すべきかと」
「――というとぉ?」
ウンディーネの問いに、メデューサは咳払いをひとつ。
呼吸を整えてから発言する。
「魔王の情報ですよ。我々の非願成就にはどうしても魔王が邪魔。その見解は揺らぎません」
「成程。メデューサさんの仰りたいことは理解しました。つまり魔王の席を奪うべく、我々も少しずつ計画を進めていくべき。そういうことですね?」
「はい。そうです」
「では、そうしましょう。真理を追い求める我々こそが魔界の支配者に相応しいと、この世界に知らしめるときは近いですから」
そう言ってウィッチは静かに笑った。




