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社畜魔王とクズ勇者  作者: 新増レン
第四章 「クズ勇者、自信をつける」
70/209

第四章Ex3 『四天王―魔女―』

【2017年12月2日改稿。読みやすくしました。内容の変更はありません。】

 


 魔王の動きと、ビーストを抑え込んだ報せは、魔界四天王にも、魔王からも書面が送られ、説明がされている。

 魔界にある魔女の領域――恐ろしく深い峡谷。

 その崖っぷちにいくつもの塔が並んでいた。

 中でも異彩を放っているのは、峡谷の真上に浮かぶ空中学園。その場所にも今回の件は届いている。




 四天王の中で最も力のある魔女。女性の魔物を中心とした勢力で、彼女達の武器は卓抜した知力にある。

 領域となっている峡谷には、塔の形をした図書館が並び、空中学園では、知識を高めるべく講義もしている。

 そんな集団をまとめるのは、全生徒による選挙で当選した学長と、直属の教員組織。


 そんな学長室にも、ビーストの件が報告されていた。


「ビーストを抑え込む。魔王としては、随分と計画的な方法ですね」


 学長は首席の証である黒の帽子と、眼鏡が印象的な女性だ。彼女はウィッチと呼ばれる魔物で、知識への渇望から魔物に身を落とした元人間だった。


 ウィッチは魔王からの書類に目を通し、他の教員に視線を送る。


「どう思われますか? ウンディーネさん」


 話を振られたのが水の肌を持つ教師の一人、ウンディーネ。

 彼女はぼやぁっと天井を見てから口を開く。


「今回の方法ぉ、ケンタウロスのサインがありますからぁ、追及は困難ですかねぇ」


「そうですね。彼らも、所詮は獣。武器を使えば強くとも、会談のような論戦では、無能ですから。メデューサさんは、どう考えますか?」


 この場にいるもう一人の教師メデューサは、話を振られてから、笑顔を浮かべて意見を述べる。


「おほん。わ、わたくしとしては、少し調査すべきかと」


「――というとぉ?」


 ウンディーネの問いに、メデューサは咳払いをひとつ。

 呼吸を整えてから発言する。


「魔王の情報ですよ。我々のためには、どうしても魔王は邪魔。その見解は揺らぎません」


「成程。メデューサさんの仰りたいこと、わかりました。つまり魔王の席を奪うべく、我々も少しずつ計画を進めていくべき。ですね?」


「はい。そうです」


「では、そうしましょう。真理を追い求める我々こそが、魔界の支配者に相応しいと、知らしめるときは近いですから」


 そう言ってウィッチは静かに笑った。






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