第四章Ex1 『四天王―悪魔―』
【2017年10月5日改稿。読みやすさの改良と、セリフまわしを改良致しました】
魔王の動きと、ビーストを抑え込んだ報せは、魔界四天王にも、魔王からも書面が送られ、説明がされている。
魔界にある悪魔の領域――雷が止まずに鳴り響く荒廃した大地。そこに建設された大迷宮の中央、巨大城砦にも届いていた。
城砦の玉座の間には、悪魔達の支配者が集結し、魔王の文書に意見を交わしていた。
「ルシファー様、サタン様の動き……噂のように不気味ですぞ」
文書を読み終え、皇帝を支える三本柱の一人、初老の大悪魔ルキフグスは髭を撫でながら意見する。
しかしそれには三本柱の一人、洗脳の大悪魔サタナキアがひとつの提案をしてくる。
「ここで攻めれば、悪魔が再び天下をとれるのでは?!」
だが三本柱最後の一人、幻想の大悪魔フルーレティは美しい顔をしかめる。
「サタナキアよ。おぬし、三本柱にありながら下級悪魔のようなことを……」
「だってよう、もう飽き飽きでしょう。こんな地味な生活は悪魔に似合わない。悪魔なら大胆不敵に人間を食うべきだ。あいつらの雌の魂は極上だろう?」
「口を開くな、悪魔の恥め。わらわの視界にうつるでない」
「なんだとっ……」
「貴様の意見など、通ると思ったか?」
「これ、フルーレティ。やめんか」
論議に発展するが、その三名を見ていた皇帝は何も発しない。
それを静かに眺めているのは玉座に腰掛ける男。長い銀髪と青白い肌、真っ赤な長い爪が特徴的で、身長も高く豪奢な服に身を包む。
「……」
彼こそ悪魔を統べる大悪魔、皇帝ルシファーだ。
彼は静かに玉座に腰掛け、三名の大悪魔の言葉に耳を貸していたが、おもむろに席をたつ。
「ルシファー様?」
「我々が魔王に歯向かうことはない。サタナキアよ、あれが我が弟であり、悪魔の最上位支配血統サタンの血を継ぐ者だと忘れたか?」
ルシファーの威圧的な視線に、サタナキアは半歩下がりそうになる。
しかし彼も悪魔を統率する権利を持つ伝統ある大悪魔の一人。皇帝であれ、簡単に引き下がれない。
「――そ、そうですけど。悪魔のなかには魔王様の支配に反対するやつらもいます。ビーストは洗礼を受けた。魔王様がまた、昔みたいに暴走しない保証はないはず!! 下級悪魔の連中はそれを恐れてる。あなたにもわかるはずだ」
しかし、ルシファーはサタナキアの言葉に何も答えず、全幅の信頼を寄せるルキフグスを見た。
「……ルキフグス、後は任せた」
「い、いずこに?」
「少し、考えたいことがあるのだ」
そう告げてルシファーは去っていく。
「ふむ。我々はこれまで通り、魔王様の行いは傍観する。それでよいな?」
「当然。わらわに依存はない」
「……ちぇ」
ルキフグスの提案にサタナキアはあまり乗り気ではなかったが、方針は決まり、悪魔の会議は終了した。




