第四章3 『義勇兵団に追いつけ』
【2017年10月30日改稿。読みやすく改良致しました】
勇者一行はウィズダム古城跡の噂を耳にして、その近郊の町、シュテム王国の中心部にやってきていた。
そこで噂の真偽を確かめるべく、彼らは二手に分かれて情報収集を行い、その結果を携えて宿の手前に集合していた。
「はあっ?! 成果なし?! モルもいたのに、何してたのよ!! まさか遊び歩いてたわけじゃないでしょうね!?」
結果を口にして、秒でエリカちゃんに怒鳴られた。
「いやぁ、噂は噂だったみたいだね。よくあることだよ、はっはっは」
笑ってみても、呆れ顔は変わらなかった。
「……はぁ。あんたに期待はしてなかったけど、ここまで無能だとはね。まぁいいわ」
どうやら許されたようだ。ラッキーだなぁ、僕って。
「最初から、あんたは頼ってないから。想定内よ」
「そんな……やっぱり好きの裏返しってやつ?」
「どう考えたらそうなるのよ」
エリカちゃんが睨みつけてくる。
「エリカさんは、どうだったです?」
結果に不満があったのか、すかさずモルちゃんが訊ねると、エリカちゃんは自信たっぷりに頷く。
「こっちは有力な情報を得たわ。とりあえず、宿で話しましょ」
エリカちゃんの提案で僕達は宿の食堂へと足を運んだ。
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簡単に昼の食事を済ませ、エリカちゃんは噂の件を話し始める。
どうやら魔物の噂は本当のようで、既に王国の騎士と町から募った兵で構成した義勇兵団が、ウィズダム古城跡に向けてここを出発したらしい。
「それ、本当です?」
モルちゃんの問いに、エリカちゃんは常に携帯してる荷物袋を取り出し、そこから一枚の紙切れをテーブルの上に置いた。
「なるほど、義勇兵募集の張り紙です」
「町の掲示板にあったのよ。日時は数日前まで。彼らは既に出発したとみて間違いないわ」
……そんな大事なら、なんで彼女たちは知らなかったのか。
モルちゃんをチラリと見ると、半目を向けてくると思いきや、顎に手を当ててジッと何かを考えているようだ。
「モルちゃん?」
「あ、いえ。少し考え事ですよ。なんでもないです」
そう言っていつもの無表情に変わる。
そんなことは構わず、エリカちゃんはシュネーさんと盛り上がっているようだった。
「さ、そろそろ私達も出発するわよ」
「今から? 明日にした方が……なんでもないです」
「それじゃあ、義勇兵団に追いつくわよ」
エリカちゃんの号令に、僕らは賛同した。




