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社畜魔王とクズ勇者  作者: 新増レン
第三章 「社畜魔王、会談する」
55/209

第三章Ex4 『宿屋にて一夜の模様』

【2017年10月22日改稿。読みやすく改良いたしました。】

 


 勇者一行はウィズダム古城跡を目指すこととし、土地勘に詳しい和服美人シュネーを加え、活気の町イルハットを出発した。

 道中、魔物と遭遇するなど、危険なことはあったが、一行はどうにかシュテム王国の中心部までやって来ることが出来た。



「疲れたあああああ!!」


「叫ぶな! 不審者扱いされるでしょ?!」


 ようやく町に着いて足はボロボロだった。

 ここから更に歩くなんて冗談じゃない! ごねまくって宿に泊まってやる!


「勇者様じゃないですけど、わたくしも疲れましたですよ」


「ほ、ほら! モルちゃんもこう言ってるし! 2対1で決まりじゃん!!」


「……仕方ないわね。シュネーもいい?」


「もちろん。少し歩き疲れてきたところですし」


「それじゃあ、勇者の借金を増やしましょうか」

「あ……」


 忘れてた。宿に泊まるってことは、必然的に僕の借金増えるってことじゃん!!


「勇者様、気の毒です」

「そ、そうでしょ!」


 これはチャンス!!

 モルちゃんに養ってもらえばいいじゃん!

 エリカちゃんより厳しく無さそうだし。


「じゃあ、モルちゃんが養って――」


「いいですよ。その代わり、結婚を前提に今夜から常に一緒の部屋で寝泊まりを――」

「やっぱりいいです」


 こうして、勇者の借金が増えた。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 その夜――。


「シュネー、モル、一緒にお風呂行かない?」


 同室の女性陣はエリカの誘いで風呂に行く流れとなっていた。


「行くです。シュネーさんはどうするです?」


「あ、あたくしは遠慮しますわ」


「そう……気が向いたら来てね。行きましょ」

「はいです。ではシュネーさん、後程です」


「はい……」



 エリカとモルの二人は、宿屋に備え付けられている浴場で汗を流した。

 運良く、誰も利用しておらず貸し切り状態だった。

 二人は汗を洗い流してから、タオルを外して湯船に入る。


 水魔法で張られたであろう湯に浸かると、身体の芯まで温度が伝わってくるようで、顔がとろける。


「はぁぁぁ……生き返る」

「エリカさん、相変わらずのオジサン風呂です。溜息長いですよ」


「い、いいでしょ? 他にお客さんもいないんだし」


 顔が赤いのは恥ずかしさか湯船のせいかわからないが、エリカは少し頬を膨らませる。


「……ですが女性としてどうかと思うですよ」


 カチーン。


「女性として、ねぇ……」


 エリカは挑発的な視線でモルをみた。主に胸に視線を送りつつ、さりげなく自分の胸と見比べ、自分の胸を持ち上げるように揺らして見せる。


「ふっ……」


「ま、まだ成長期です。それに、エリカさんも言うほど大きい方じゃないですよ」


「そうだけど? これくらいの手頃なサイズは、バランスがいいのよ。鎧も着やすいし」


「ぐぬぬぬぬ、です」


「ところでモル、いま何歳?」


「17ですよ」



「……え?」



「なんで本気で驚いてるです?」


「だ、だって、それにしては…………ごめん。言い過ぎた」


「どういう意味です?!!」


「だって、どうみても10歳の体型だし、童顔だし……あ、二つ縛りの髪型やめたら大人っぽいわよ。今だって……2歳くらい」


「この髪型と童顔は唯一のわたくしのキャラです。誇りがあるですよ。もしもやめてしまえば、それこそ変人の印象しか残らず、勇者様とキャラが駄々かぶりですよ」


「キャラって……前も言ってたけど、大事なの?」


「どうせエリカさんのような、ツッコミ担当で重い過去と使命を背負った人は、考えなくてもキャラからついてくるです。羨ましいですよ」


 そう言ってモルは、恨みのこもった視線を送ってきた。

 エリカは敢えて目をそらし、思い立ったかのように話題をすり替える。


「と、とにかくキャラはいいとして。……ま、まあ、胸が小さい方が好きな人もいるみたいだから、希望は捨てちゃ駄目よ?」


「まずはその憐れみの目を向けないでほしいですよ」



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~



『私達、これからお風呂だけど、念のため金貨の袋は持っていくから』


『勇者様、覗いてくれたら今夜にでも婚姻を――』


『ゆ、ゆっくりしてきてよ』


 エリカちゃんとモルちゃんが浴場で楽しんでいるであろう頃、僕は一人、部屋から夜の町を見て唸っていた。


「はぁ……遊びてぇ。美女は常に近くにいるんだけどさぁ、違うんだよなぁ。もっとこう、僕に優しくしてくれるようなさぁ……ん?」


 誰に言うでもなく嘆いていると、見知った顔が宿を出ていくのが見えた。


「シュネーさん?」


 なにやら周囲を気にしながら、町の方角へと早歩きで消えていった。


「……よし、寝るか」


 女に秘密はつきもの。それを探るのは男が廃るってね。

 ま、逆に探偵に尾行されたことは何度もあるんだけど……。


 思い出すのはやめよう。


 とにかく、することもないなら寝るに限る。

 もちろん、シュネーさんは見なかったことにして、僕はそのまま眠りについた。








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