第一章Ex1 『あるクズの殺人事件』
【2018年1月19日改稿。内容に変更はありません。見やすくしました。】
現代、午後8時――。
「ちょい待って! 一番はキミだって! だからその物騒なやつ捨てよう? ね?」
「そう言って、他の女も騙してたの?」
「ば、馬鹿言うなよ! こんな誠実そうな奴が、浮気魔神のパリピに見えんの? 一途! 一途だからさ!」
「どっからどう見ても、顔だけのチャラ男じゃん」
「そ、そそそそうやって? 人を見た目で判断するのはどうかと思うなあ。でも、心の広い僕は、許してあげ――」
ブルブルブル……。
「……」
「ケータイ鳴ってるよ? 出ないの?」
「い、いまはマズイよ。このバイブ音はきっとマミちゃ――」
「しねえええええええええええ!!!」
「ギィヤアアアアアアアアアッッ!」
ズブシュ!
グサッ!
グサッ!
ズブシャァァッ!
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アアアアア…………あ?
あれ、痛くない。
さっきまでこの世の終わりみたいな激痛で、何度もヒトミちゃんに滅多刺しされてたような…………もしかして僕、特殊能力者?!
不死の身体の持ち主とか?!
『いや、貴様は死んだ。刺されながら許しを乞い、無様に死んだ』
ですよねー。なんか、そんな記憶ですもん。
ん? ってことは、ここが天国?
あまりに殺風景すぎない?
天使の美女たちは?
僕、死んだら天使とイチャイチャしたいんだけど。
『……貴様は、天国にいけると思っていたのか?』
うん。だって、被害者だし。
地獄に行くとしたらヒトミちゃんじゃね?
あの子さあ、顔はいいんだけど、性格あれだし。さすがに僕の天国ハーレムには、いらないかなあ。
『なぜ貴様なのか。あの方の意思を理解できん』
あの方?
あ、もしかして神様? 女神様なら、デート希望!
『貴様の相手は疲れる』
それ、よく言われる。あっはっは!
『あの男とは違い、貴様の希望は聞かぬ。せいぜい、苦しんでくるといい』
は? どゆこと?
『近いうちに、また会おうぞ』
えー、僕さ、女の子はオーケーだけど、男はちょっとな~。
『とっとと眠れ』
え? くかー。
『これで、ようやく始めることができそうだな』