第三章Ex2 『勇者は立場が弱い』
【2017年9月30日改稿。読みやすく改良致しました。】
僕たちは勇者一行。魔王の討伐を目指している。
勇者の僕と、美女の戦士、美少女魔法使いの三人で旅をしている。
まあ、ハーレム結成って言いきってもいいじゃんって感じだよね。
そんな僕らは、活気の町と呼ばれているイルハットで、シュネーと名乗る和服美人に出会った。
彼女が言うには、魔王の配下が王国にあるウィズダム古城跡で侵略の準備をしているらしく、僕達はとりあえず、そこへと向かうことになった。
「さてと。それじゃあ行くわよ。シュネー、準備いい?」
「あ、はい」
エリカちゃんとシュネーさんが家の前で楽しそうにしていた。
それを僕とモルちゃんが遠くから見ている。
「勇者様、一ついいです?」
「なに?」
「どうして彼女も同行するのです?」
モルちゃんが指差したのは、真白の和服美女(勇者命名)シュネーさんだ。
「どうしてって、いた方がエリカちゃんも寂しくないし」
適当に理由を並べたが、モルちゃんは半目でこちらを見てくる。
「……勇者様、エリカさんと何かあったです? 今の理由は、いささかエリカさんに傾きすぎな気がするですよ。浮気はだめです」
「そう言われてみると……いや、嘘だよ嘘」
「今のが本当の理由だった気がするですけど、嘘の理由を聞いてみますですよ」
「えっと、ほら、シュネーさんもいた方が賑やかじゃん。ハーレムって感じじゃん。あんな美人、そうそういないぜ? こりゃあ、確保すべきでしょ」
「初めにそれを言っていれば信じたかもです。その方が勇者様らしいクズ野郎の発言なのですよ」
うわ、あいかわらずひどい言われようだ。
まあ、本当の理由はエリカちゃんに伏せるように言われてるから、仕方ないか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数十分前のこと――。
エリカちゃんが朝食の後、話があると言ってきた。それもシュネーさんやモルちゃんに気付かれないように、ときたもんだ。
もしかして告白とか? まいっちゃうなぁ、付き合うなら喜んで受けるけどね! 結婚は嫌だけど。
しかし、大いなる期待は見事に的中しなかった。
「え、シュネーさんもつれていくの?」
「そうよ」
「危険じゃん」
「勇者がいるから大丈夫でしょ。それに、彼女も旅人みたいだから心得はあるわよ」
んな無茶苦茶な。
「とにかく、この辺の土地勘に詳しいシュネーがいれば安心でしょ?」
「そんなこと言って、初めての友達と別れたくないんじゃ――すみません、口が滑りました」
「よろしい。……実はこれ、シュネーの要望なのよ」
「シュネーさんの?」
「うん……。な、なによ?」
「エリカちゃんも、友達には優しいんだなぁ」
「――!」
「その調子で、僕にも優しくしてほしいなぁ」
「勇者様、ちょっといい?」
「え――」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「お待たせ、二人とも」
僕が朝の苦い記憶を思い出していると、二人が施錠を終えてやってきた。
「シュネーさん、本当についてくるの?」
「はい。よろしくおねがいしますわ」
「そっか。それじゃあ――」
「なに仕切ってんのよ」
先頭に立って掛け声をかけようとすると、エリカちゃんに睨まれてしまった。
「いや、勇者だしさ、これくらいは……」
「あんたにそんな資格はないでしょ。借金抱えてリーダーなわけ?」
「……すみません」
これには何も言えない。あぁ、早く自由が欲しい。
「それじゃあモル、シュネー、準備はいい?」
「はい。大丈夫ですわ」
「オッケーですよ。食料もこのリュックに詰め込んでありますです」
エリカちゃんがいつものように掛け声をかけると、二人はそれに応じる。
でもさ、これは絶対おかしいよな。
僕のやったことあるゲームの勇者、こんなポジションじゃなかったじゃん!
「ウィズダム古城跡は遠いわ。とりあえず、その途中にある王国に立ち寄りましょう」
「了解ですよ。その方が、噂の真意も確かめられるです」
「それじゃあ、出発よ」
「「おー!」」
「……おー」
あれ、僕って勇者の風格ゼロじゃん。
うん、前々から気づいてたけどね。
……うん。




