第三章3 『画策』
【2017年9月30日改稿。読みやすく改良致しました。】
魔王城の一室、そこには魔王の秘書サキュバスと、お傍付き護衛衆の雪女がいた。
「彼女には、伝えた?」
「もちろんですわよ。ビーストとの会談、鍵を握るのはミノタウロスと、彼ら。少しでも魔王様の負担が減るといいのですけど」
「……正直、驚いた」
「あら、サキュバス様が? 珍しい」
雪女は皮肉を込めてニヤニヤと笑っている。
「雪女、あなた……いえ、やめておくわ」
「そう? あたしは構いませんのよ?」
雪女はそう言ってふわふわと浮く。
「……じゃあ、一ついい? あなた、何か企んでる? 今の魔王様になってから、随分と行動的よね」
サキュバスの言葉は予想していたのか、驚く素振りもなく、雪女は真っ直ぐにサキュバスを見る。
「全ては、魔王様のため。ですのよ」
「……その言葉、信じていいのね?」
「あたしが裏切ると? 護衛衆のあたしが?」
「あなたには前科があるから」
「まあ、手厳しい。前科があるのはお互い様でしょう?」
「……放っておいて」
「うふふ。あなたがどんな妄想をしようとかまいませんのよ。
――ですが、ありえませんわね。あたしは、魔王様に全てを捧げるお傍付き護衛衆の一人。あの方の為なら、死ぬのも惜しくありませんの。たとえ中身が変わっても、あたしは今の魔王様を大層気に入ってますもの。
……では、あたしは仕事に戻りますわね」
そう言いきり、雪女はスイスイと宙を泳いで部屋を出ていった。
「雪女……」
サキュバスは、去り際に見せた真剣な雪女の表情が、やけに印象的で忘れられなかった。




