表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜魔王とクズ勇者  作者: 新増レン
第二章 「クズ勇者、旅立つ」
37/209

第二章13 『和服美人との遭遇』

【2018年1月21日改稿。内容に変更はありません。見やすくしました。】

 


「「ふわぁ~あ」」



「だらしないわね。行くわよ、二人とも」


 朝食を終え、いつもながらシャキッとしているエリカちゃんの掛け声と共に、僕らは宿を出た。

 本日は少しでも進みたいとのことで、あまり寄り道せずに王国の首都を目指すことになっている。


 シュテム王国。国境を越えたということで以前とは違う国らしいけど、歩いていても平原が続くだけ。

 全然、別の国のようには感じない。


「あのさぁ、この国って前の国と似てね?」


「この辺りは同じね。けど植生が豊かで森が多くあるのよ」


 しょくせい? なんのこっちゃ。

 けどまぁ、森があるってことはわかったぞ。うん。


「モルちゃんは、こっちの国に来たことあるの?」


「ないですよ。わたくしはテスタラ生まれのテスタラ育ちです」


「わお、シティ生まれのシティ勤務みたいなカッコよさ」


「??? なんです? それ」


「こっちゃの話だよ」


 二人でだべりながら歩いていると、前方を歩くエリカちゃんが足を止める。


「止まって」

「どったの?」


 平原続きかと思えば、そこかしこに茂みが増えてきている。

 しかし、ここで足を止める理由がわからない。


「エリカさん、どうしたのです?」


「あの茂み、今動いた気がするのよ」


「どれどれ?」


 注目した直後、本当にガサガサと音を立て始めた。


「うわっ!」


「……! 何か出てくるわ!」


 エリカちゃんの予想通り、影が茂みから出てくる。



「「「―――!?」」」」



 しかしその正体は、血まみれの女性だった――。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「どうしたの?! ひどい怪我……!」


 エリカちゃんが血相を変えて駆け寄る。

 茂みの中から出てきたのは血だらけの女性だった。彼女は力なく倒れてしまっている。


「魔物に、やられて……」


「魔物?! エリカちゃん、魔物は出ないんじゃ……」


「こっちのシュテム王国からは魔物の群生地や拠点もあるのよ。魔物が出てもおかしくないわ」


 聞いてないよそんなの!

 ヤバいじゃん! 魔物ってこんなに強いの!?


「ねぇ、エリカちゃん。引き返した方が――」


「うるさい! とりあえずモル、魔法で治せる?」


 あ、完全に無視のやつね。



「無理ですよ~~。わたくし、治癒系統はからっきし。出来ていれば町の方々の腰痛も治せましたですよ。しかし、これもナハト母様の由縁ですよ。ま、母様の闇魔法と違って、わたくしは光――」



「治癒術は無理か……」


 モルちゃんがまだ説明を続けている中、エリカちゃんは構わず女性に話しかける。


「それじゃあ、近くの町に行きましょう。立てる?」


「え、ええ……」


 驚いたな。エリカちゃんの意外な一面を見た。


「おぉ、勇者様、貴重な光景ですよ」


「うん。これは貴重だ」


「ほら、ぼさっとしないで手伝いなさいよ!」


「ほいさー」「らじゃ」


「もう安心よ。必ず助かるわ」


「あ、ありがとう……あの、さっき勇者って」


「私達、こう見えて勇者一行なの。だから安心して」


 すっごく詐欺っぽい台詞だよね、これって。


「勇者様、だったんですか……噂には聞いていましたけど、本当に……」


「そう。だから大丈夫よ。とりあえず私はエリカ。あなたは?」



「あたくしは、『シュネー』といいます」



「シュネーさんね、近くの町へ行きましょ」


「そ、それなら近くにイルハットという町があります。あたくしの家もそこに」


「イルハット……そうね。そこに行きましょう」


「あ、ありがとうございます」


 シュネーさんか。こりゃ美人だ。

 すげぇな。今まで見た中で群を抜いて美人だ。

 白く透き通った肌と、目鼻立ちが整った美顔。流れるような真白の髪がまた美しい。

 それに、和服姿ってのがまた……そそるな。


「勇者様、浮気です?」


「ち、違います違います! って、モルちゃんか。ビックリさせないでよ」


「その"浮気"という言葉に対する過剰反応、トラウマです?」


 ニヤニヤしてモルちゃんが見上げてくる。


「詮索禁止。さ、エリカちゃんはもう行っちゃったし、行くよ」


 見れば、肩を貸してすでに歩き始めている。


「……?」


 それを追いかけようとして、一度茂みが目に入った。

 茂みは血に染まっていたが、ところどころ濡れているようにも見える。まるで、そこだけ雨が降ったかのようだ。


「……まいっか」


 違和感を覚えたが、気にせず彼女たちの後を追った。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ