第二章11 『国境越えってドキドキしない?』
【2018年1月20日改稿。内容に変更はありません。見やすくしました。】
テスタラの町を別々に出た僕らはなんとか集合できた。
そして、とりあえず次の目的地を確認することにした。
「よし、まずは資金集めだ。ラスベスで一山当てよう!!」
「同感しますですよ!」
お、意外にもモルちゃんとは気が――。
「ふふっ。勇者様の行きたい場所なら、わたくしの本望。そしてわたくしを認めた勇者様はついに自らの野性を解き放ち――」
合わないよな。うん。
この子はこういう子だ。
「こら。馬鹿言ってないで、真剣に考えるわよ」
「でもさ、資金難でしょ? それならラスベス行った方が――」
「資金ならご心配なく」
ドサッ!
「え?」
エリカちゃんは金貨に溢れた袋を取り出した。
「……それ、盗んだの?」
「違うわよ! 勇者一行が盗みを働くわけないでしょ!?」
いや、この子ならやりかねない。
「なによ、その目」
「別に?」
「こ、これは王国に行ったとき、王様に頼んだの。勇者の旅に必要なものは支援するって言ってたから、ちょうどいいでしょ?」
「……それって、つまり税金じゃん」
「そうね」
悪魔だ。
「勇者様、エリカさんは随分と、アレな方だったんですね」
「ま、そうだね。僕達で何とかしてあげよう」
「おい。聞こえてるわよ。ったく、話を戻すわよ」
「ラスベス!!」
「行かないっつってんでしょ?!」
「まあ、わかってたけどね! はははっ!」
「なんなのよ……。とりあえず、今日は国境を越えた先の宿ね」
国境を超える?!
マジかよ。
日本から出たことなかったけど、異世界で国境超えちゃうの?! やっべぇな。
「ほほう。国境を超えますですか。一歩ずつ、魔界に近づいていきますです」
「そ。じゃあ、行きましょうか」
完璧に仕切りはエリカちゃんで定着していた。
それを見て、モルちゃんは小声で耳元に話しかけてくる。
「いいんです? 勇者の地位が脅かされると言うより、既にないですよ?」
「これでいいんだ。ほぼ主従関係だし」
「……なるなる。そういう趣向が勇者様好みなのです?」
「それは断じて違うから」
「二人とも、なにしてんのよ! いくわよ!」
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勇者の力というものは恐ろしい。
国境は関所になっていた。いかにも強そうな鎧の番兵が立っていたのだが、勇者一行と名乗ると、彼らは僕に「剣と盾をお見せくださいますか?」と言ってきた。
これを質に出さなくて本当に良かったなぁ。
なんと剣と楯には王家の紋章なるものが刻まれているらしく、それを確認した瞬間、あの厳つい番兵が、眉間に深い傷跡のある番兵がだよ? すんなりとよけるじゃないの!
いやぁ、本当に勇者ってすごいな。うん。
これでモテないわけがない。イケメンだし!
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「――はい、勇者の借金増やしておくわよ」
「あざっっっす!」
「勇者様がここまで惨めだとは。想像の斜め上をいくです」
国境を越えた先の宿に着いた僕らは、すでに日が落ちていることもあって泊まることにした。
もちろん、僕の分の宿代はエリカちゃん持ちで、借金が増えた。
隣で会計を済ませるモルちゃんにも引かれていたが、些末なこと! 先程までは国境越えの件もあって尊敬の眼差しがあったが、今は皆無さ。
そう、僕は器も大きいのだ。
「ふっふっふ」
完璧じゃん! 勇者完璧じゃん!
「ほら、行くわよクズ」
「あいあい!」
「実にカオス、なのですよ」
こうして勇者は借金を増やした。
しかし、レベルは一向に上がらないのであった。




