第二章3 『notチート勇者butクズ勇者』
【2018年1月20日改稿。内容に変更はありません。見やすくしました。】
テスタラの魔法使いを仲間にすべく、僕達は平原を歩いていた。
しばらく歩き、疑問が浮かんだ。
「エリカちゃん、いい?」
「なに?」
何故か列の先頭を歩くエリカちゃんは、声をかけると振り返ることなく応答する。
「勇者は魔王討伐するんでしょ?」
「当然」
「でもさぁ、魔物いなくね?」
魔王と魔物はセット。
いつかミナミちゃんが執拗に言っていた。
僕はこれまで、犬や猫、馬などには遭遇したけど、初心者勇者に最適なゲル状の魔物を見たことがない。
ないのだが、僕の疑問にエリカちゃんは足を止める。
「こんな辺境に、魔物がいたら終わりよ」
「え?」
ごく普通に言われた。
「魔王は魔界にいるの。ここから正反対の大陸が魔界と化しているわ。だからって、こんな拠点もない辺境まで魔物が攻め込んでたら、世界は終わりよ」
そういうものらしい。
まてよ?
つまりあれだ。ミナミちゃんが口癖のように言っていたやつだ。
レベルを上げてボスに挑め。
しかし現状、魔物で世界が溢れたら終わりと言う。
確かに、某有名ゲームをやったことあるけど、あんなに魔物溢れてたらヤバいよね。
……あれ、つまりこれって。
僕は経験ゼロで魔王と戦うの?
「しぬしぬしぬしぬ! ガチでヤバいやつだって!」
「やれ。勇者でしょ?」
「だけども?! 経験無しでボクシングのプロとやりあうようなもんでしょ! むりむりむりむりむり!!!」
「……勇者なんだから、なんとかなるわよ」
ポクポクポク……ん?
あ、勇者だった。勇者ならなんでもありじゃね?
だって主人公ポジションだし?
いけそうな気がしてきた。
「わかった。やってやるさ」
「……(こいつ、本当に勇者なのかしら)」
クズはまた一つ、無駄な自信をつけた。




