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社畜魔王とクズ勇者  作者: 新増レン
第九章 「クズ勇者と、砂漠の王女」
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第九章27 『カスタード王国の眠らぬ夜』

 


 勇者一行の活躍によりカスタード王国は救われた。

 そして勇者が国王にショコラ王女の事を信じるよう頼み込んだ結果、ショコラ王女の恋は皆が見守る中で認められることとなる。

 国王は勇者一行に感謝の意を示し、その日は盛大な祭りが開催されることとなった。




 夜。

 街が、活気に満ち溢れていた。


「国王様は随分と派手好きなようです」


「本当ね」


 宮殿から出ると、街が賑わっていた。

 すでにワクワクしてくる。こんな高揚感は久しぶりだった。街中が祭りの只中で楽しそうに笑いあい、食べたり飲んだりと大騒ぎだった。

 大通り全体が夜とは思えないほどに輝いていて、まさにビバフェスティバルだ。


「エリカちゃん、さすがにこういう日は遊ぶべきじゃね!?」


「……はぁ。いいわよ。今日は自由行動」


「まじで!? いやっふうううう!!」


「ただし、問題は起こさないようにしなさいよ!」


「わかってるって!」


 僕は許可をもらうとすぐに走り出し、街へと繰り出した。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 久しぶりの自由行動、そして祭りともあって街の人々の気前も良く、僕の顔を見るなりタダで食事を奢ってくれる。

 そして最高なのが、酒を飲み放題ということだ。


「わっはっはっは!!」


 酔いが回る頃には笑いが止まらなくなり、テーブルを囲んで見ず知らずの連中と乾杯を重ねる。


「勇者様、もう一杯いかがです?」


「もうじゃんじゃん飲むよ! 今宵は無礼講だからね!! あっはっは!!」


 街の美女たちと共に酒と食事を囲んで飲み食いしまくる。

 まるで天国のようだ。

 勇者生活始まって以来となる最高の夜だった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あむ……むぐ、もぐ」


 ごくん。


「エリカさん、勇者様が完全に威厳を失っているです。あれでいいです?」


 私とモルは食事をしながら、離れた場所で勇者を見ていた。

 万が一、あいつが危険な行動に出た場合に対処できるようにしている。


 モルはひたすらに屋台で売っている骨付き肉を食べながら勇者を見ていた。


「今日くらいは大目に見ましょ。今回は、あいつの手柄だからね」


「……それもそうです」


 私とモルは、今回は役に立てなかった。

 特に私は酷い。

 口で偉そうなことを言ってるくせに、前回も今回も戦いに貢献できていない。


 もっと、強くならないと……。魔王を倒すためにも。


「エリカさん、どうしたです?」


「え?」


「目が怖いです。それと、魔物の力のようなものを感じたですよ」


 モルに言われても実感が無かった。

 確かに顔が熱いけど、これは酒のせいよね。


「飲み過ぎたです?」


「そんなことないと思うけど……」


 くいっ。


 私は酒が注がれたグラスを飲みほす。


「そうね。少し疲れてるのかも。……宮殿に戻るわね。勇者の事は」


「任せてほしいです。あの様子だと千鳥足確定ですから、急接近イベントもあり得るですよ」


「はぁ……程々にしなさいよ」


 そう告げてから私はモルの元を離れて宮殿へと歩く。

 こうして普通に歩いていると、確かに体が熱かった。














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