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第七話 「正六面体」

 カチリ

俺は白い何もない空間にいた

 カチリ

これは、何の音だろうか

 カチリ

いや、解る。

 カチリ、カチリ

それは今オレの目の前で行われている作業音

カチリ カチリ カチリ

それは、面の色を合わせる動作音

カチリ カチリ カチリ カチリ

いや、それは面ではなく。それは正六面体。

カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ

3×3×6の面で構成されたもの。

カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ カチリ

ルービックキューブ。

立方体の六つの面がそれぞれ9個の正方形に分割された立体パズル。

シールが貼られている立方体を三つの軸で回転させることで、正方形の位置を動かし、

全ての面を同色にそろえて遊ぶ玩具。

突如、俺の目の前に現れたソレは動作音をたてながら面の色を合わせる為に

縦に横にと動いていく。

 カチカチカチカチカチカチカチカチ

徐々に速度を上げていくその動きは機械的で

一つのゴール以外目指さない。

そして

 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

 カチンッ

完成する。

全ての色が合わされた正六面体が俺の中に浮かび上がる。

・・・訂正。

それは一つではなかった。

気が付けばその正六面体はぱっと見ただけでも50個以上はありそうだ

その正六面体は積み木のごとく積み上がりまたひとつの大きな正六面体

ルービックキューブを組み上げ

カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

色を合わせるために縦横無尽に動く

その作業は俺の中で他にも数十個、否数百個以上の数のルービックキューブが同時に解かれていき

また一つに組みあがる。

カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ!!



あれから何程の時間が経過しただろう

数時間?数日?・・・いや、時間は流れていない気がする。

なんとなく解る。

無限に増殖し続けていたルービックキューブの増殖ももうない

つい先ほどまで解かれ続けていた無数のキューブが一斉に

カチリと音を立て完成し

今、ひとつの巨大なルービックキューブに組みあがった。

最初の小さな正六面体と比べることもバカらしくなるほど巨大だ。

それが音を立て回転し始める

ガチンッ

ガチンガチンッ

重低音を響かせ回転し始める

ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

ガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチガチ

そして待つこと数分?数時間?

目の前で高速で回転していたそれは

動きを緩慢にしていき・・・。

ガチンッガチンッ

・・・ガチンッ!!

完成する。

それは余りにも巨大で

美しく、綺麗な正六面体。

その完成を見届けたとき

白い空間は砕け散り


俺は現実へと戻ってきた。


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