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第四話 「不信感転移魔術」

「まぁ、説明と言っても。簡単な話この『不信感』転移は一定距離の相手に『不信感』を移しているだけなのです。なのです!」

「なんで、なのですを付け足した」

「ツッコミよりもちゃんと話聞いてください」

「ぇー・・・それお前が言うの?」

「こほん。いいですか?」

「あ、はい」

そうして、この『不信感転移』について説明がはじまった。

「この魔術は、さっきも言いましたがAという人物がBという人物に『不信感』を抱いているのをCという人物に移す魔術なのです。そして、BとCはある程度距離が近くないといけません」

「ふむふむ」

「今回の件に当てはめると。魔王様が私に対して抱く『不信感』を隣の佐藤さんに移した形になります」

「なるほどなる・・・え?」

「で、『不信感』を移された佐藤奥さんは帰りの遅かった、佐藤旦那さんと絶賛修羅場」

「ちょっとまて!なんでお隣さんに移した!しかも修羅場ってどういうことだ!」

「だって、移した『不信感』は私に対してではなく『不信感』を抱く『心』を移したのです。で、不信感を持った奥さんは帰りの遅かった旦那さんに『不信感』を持ってしまったです」

俺は若干混乱する。

えっと・・・少し整理する

『不信感』を移すと移された方は『不信感』を抱く。

で、この場合このきちゃない女に『不信感』を抱くわけではなく。

『不信感』を抱くという『心』を移した。

結果、俺はこの女に対して不信感を抱かず、移されたお隣さんは絶賛夫婦喧嘩・・・と。


「いますぐその魔術を止めろおおおおおおお!!!」

「ええええええええええ」

「お隣さんはな!近所でも有名なおしどり夫婦なんだぞ!それが夫婦喧嘩でガッチャンガッチャンってヤバすぎだろおおおおおおお!」

「そ、そんな怒鳴らないでください!怖いです!」

「俺は、その魔術が怖いわ!」

「わ、わかりました!すぐ止めますから・・・だ、だから怒鳴らないで!」

「なんでDV受けてる奥さんみたいな反応なんだよ!いいからさっさと止めろ!」

メティの右手の中指と人差し指がポヤっと光を灯した。

そして、おもむろに俺の頭の上に持っていき

「ちょきんっ☆」

ピースした指でハサミできるように合わせたあとウインクした。

イラっ

「終わったのか?」

「はい、術は成功しました・・・」

「後遺症とかは・・・」

「今はないと思いますが・・・」

「では!」

「はい!佐藤さん夫婦は助かります!私が助けました!」

「お前が犯人じゃああああああああああ!!!」

「えええええええええ!」

「なんでオペ後のコントみたいな雰囲気なんだよ」

「いや、ノリで?」

俺はスパーンと横に置いてあった漫画本できちゃない女の頭を叩いた

「いったーー!パパにもぶたれたことないのに!」

「修正だ!」


「で?これで佐藤家の安寧は守られたのか?」

「はいーたぶん今燃え上がってます」

「あー・・・喧嘩したあとって」

「いやん☆」

「殴っていいかな」

「お断りします」

こうして佐藤家に多大な迷惑をかけた『不信感転移魔術』は解除された。

そして、何故佐藤奥さんに転移したかといえば、一定の距離にいたのが佐藤奥さんだけであり。

うちの親たちはどうやら夜の街へハッスルしに行っていて留守だった為らしい。

聞かなきゃよかった・・・。


「で?これが悪事に使えないってのは」

外から聴こえて来ていた、遠吠えや喧嘩の喧騒が消え。

安堵した俺たちは向かい合って座る形でお茶と飲み一息ついていた。

「はぃー、例えば商店で店主に魔術を行使して盗みをする場合、近くに人がいなければいけません」

「そうなるな」

「店主から『不信感』を移せても、周りのお客や店員から『不信』がられ、しかも店主は私を信用するわけではないので・・・」

「あぁー・・・なるほど」

「はぃー青年団や村人に袋叩きです」

「青年団?」

「あ、はい・・・えっと警察・・・ですかね?」

「なるほど・・・」

青年団に村人ねぇ・・・

ど田舎とかで聞いたことあるな。

「じゃぁ、あんま悪いことには使えないんだな?使えない奴なんだな?」

「はいー・・・あれ?バカにされてる?」

(ホントかよ・・・なんか隠してそうだな・・・ん?これが不信感か?)

「あぁー・・・魔王様が私に不信感をいだいてるきがしますぅ・・・ぐすん」

「まぁ、・・・ねぇ」

そんな情けない顔の汚い女・・・いい加減メティさん?ってよんだほうがいいのか?

と向かい合って茶をすすっていた時。

異変は突如として俺たちを襲った。

それまで聞こえていた遠くで発せられる日常音や虫の声も消え失せ

真夜中にも関わらず窓から見える夜闇は、天を裂く光の柱により一瞬で昼かと思うほどに光で溢れた。

その日、その時

俺の日常は音と共に消失した。

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