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第十四話 「そもそもの疑問⑤」

「だからさ、何度も言うけどなんで俺なんだ?確に能力についてはわかったが」

「あ~そっち?そっちなの?」

「なんでタメ口聞いてんだ?」

「すみません、申し訳ございません」

深々と土下座するのを見て先を促す

「簡単な話、セナールお姉様に聞いていたのですよ」

「ほう?」

「セナールお姉様は魔界公爵家令嬢なのですが、20年前に予言をなさいました。

『人間界にて魔王様が復活なさいました。魔王様は今より20年後覚醒なさいます』

って感じらしいです。私はまだ生まれてなかったのですが」

「ほ~・・・その公爵家令嬢ってのは占い師かなんかか?」

「いえ、ただのエロキャラですね」

「は?」

「いやぁ・・・ぼんきゅぼ~んなんですけど頭お花畑なんですよね~更年期障害かな?」

「・・・」

「ただまぁ、魔界貴族でも上位の公爵家です。そこの御令嬢の発言なもんで調べあげました~魔界貴族の総力を挙げて・・・お父様も頑張って調べたそうですよ。そしたらなんといたんですよ。魔王さまが。」

「で?それが俺と」

「はい~、私の家は魔王様の側近としてお仕えしていたのでお迎えに上がった所存ですん」

「なるほど・・・まぁ、納得はした」


2000年前の戦争に敗北、そして転生の予言ねぇ・・・。

確に俺は能力に目覚めてるからたぶんコイツの言っていることは正しいんだろう。

でもさ・・・魔王ってなにすんだよ。

しかも魔界って滅亡寸前なんだろ?


「・・・で?魔王の転生ってことで俺に魔界を救えと?」

「はい!よろしくお願いします!」

「無理だ」

「・・・」

ぽかーんっとした顔でこちらを見る女

どうやら俺は時を止める魔術も使えるらしい。

「いや、あの」

「無理だ」

「・・・」

「で、でも」

「いや、そもそもだ。俺はこの20年普通の一般人として生きてきたんだぜ?それなのに魔王とか無理に決まってるじゃないか。話を聞いてると魔族が劣勢なのは統率が取れていないからっていうが・・・」

「はぃ」

「俺に統率者なんて無理だぞ?今まで生徒会長どころか学級委員すらやったことないんだ」

「学級委員が何かは存じ上げませんが魔王様だから大丈夫ですよ」

「その信頼はどこから来るんだ」

「そ・れ・は・私の乙女ハー・・・キャ☆」

スパーンっと頭を叩く

もうこの雑誌、雑誌の体をなしてないな

「・・・まぁ、ともかく無理だろ。だれか強い貴族に率い」

「そんなのダメです!」

「!?」

「魔王様は我々魔界の希望なのですよ・・・ずっと、ずっと小さい頃からお父様から聞いてきました。魔王様が生きていらっしゃった頃の魔界は平和で、笑顔があふれていたそうです。でも、今の魔界は・・・私が生まれた頃には既にそれとは真逆といっていいほどの状態でした・・・いつ襲って来るともしれない天兵に怯え、田畑は荒らされ、今日を乗り切るのに必死だったんです・・・。でも私達には希望がありました。魔王様の復活・・・それだけを希望に生きてきたのです!だからお願いします!どうか!どうか私達魔族を見捨てないでください!お願いします!お願いします!」


胸が痛かった。

俺の前で必死に、涙をポロポロと流して床に這いつくばって訴えかけられる。

心が軋んだ。

髪を振り乱して頭を、何度も何度も下げ続けるこの女にこみ上げるものがあった。

言い訳並べて、逃げて。

カッコ悪いよな・・・俺

スゲェダサい・・・。

・・・よしっ。


「俺に何ができるか。正直分かんねぇけど・・・やってみるわ」

「魔王様!」

ほんと正直何ができるかなんて分かんないし、正直自信もない。

でもせめて。

俺はカッコよくいきたい。



ようやく次から魔界へ

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