第十話 「そもそもの疑問」
「でさ・・・さっきの天兵?あいつら何しに来たんだよ」
綺麗に、とは言わないが元の状態にもどった部屋で
数時間前にしていたように向い合わせに座り、麦茶を飲み一息ついたところで切り出した。
疑問。
「はい、何しに来たんでしょうね!」
俺の疑問に疑問ですぱっと返事した女
俺は徐に雑誌を丸め
「すみません!」
土下座だった。
流石に土下座する女の頭を叩くほど起こってなかった俺は、ポイと雑誌を手放す。
「で?」
「ぁ、はぃ・・・。たぶん・・・ですけどいいですか?」
「いいよ」
俺の答えに土下座をとき、こちらを真っ直ぐにみつめてくる。
「正確には分かりませんし、これは予測ですが。彼らは魔王様の王位継承前・・・できれば覚醒前に始末するのが目的だったと推測しますです」
「どういうこだ?」
「はい、では現在の魔界の情勢について説明させていただきます。」
居住まいを正し、すうっと息を吸うとふっと目に力を入れ
「滅亡寸前です!」
すごいドヤ顔でのたまった。
「現在、魔界側は魔界領域の2/3を失い。失われた領域に居を構えていた人々は天界へ奴隷として連れて行かれるかその場で殺されています。名のある公爵や侯爵等の72柱に数えられる魔界貴族は2000年前の戦争でその殆どを失い。のこった魔界貴族達も魔王様不在の為連携が取れず各個撃破でいいようにこの状態になってしまっています。」
「なっ!?」
おいおい、2/3ってマジかよ。
まぁ、そもそも魔界とかいうのがどれほどの面積を要するかわからないが。
ちょっと、地球を舞台に考えてみよう・・・。
地球の総人口は71億人。内、中国人は13.5億人。
地球は5人に一人は中国人ってことか・・・。
あれ?・・・これ既にやばいな。
それが、地球の2/3が中国人だとしたら・・・
中国人は約47億人・・・やべぇよ!それめっちゃやべぇよ!
俺は驚愕の目でメティを見つめていた。
「そうです。魔界は今かなり追い詰められている状態となっています。」
「そうだな・・・」
「はい、現状は私が楽しみにしていたリンゴパイ1ホールがお姉ちゃんに食べられ。円形だったはずなのに数ピースしかのこってない絶望的状態です!」
「うん、それはわからない」
「ぇー」
「ぇー」
「それでですね。・・・魔界側がここまで追い詰められた理由は簡単です。先程も言ったように、統率者がいないためなのです。」
なんか話が俺に向いてきた気がする。
いや、気のせいじゃないな。
「魔界側はもともとの戦闘力は結構高めなのです。ですが基本温厚で、・・・争いが好きではありません。剣を振るよりクワを振るっていたい人の方が圧倒的に多い種族です。その為攻め込まれてようやく迎撃するも多勢に無勢。圧倒的兵数の前に個人の武は折れてしまっています。」
「え」
なんか魔族や悪魔のイメージが崩れ去るようなことを言われた気がする。
「ですので・・・魔王様。」
「・・・」
「魔王の王位継承を行い、私たちを」
そして、土下座するように頭を地面にこすりつけるように小さくなって
「私たちをお救いください」
すごく悲痛に聞こえる声で懇願された。