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第九話 「空間隔離と天界兵」

夜空に新たにできた三つの星を確認しふっと息を吐く。

「モヒカン座の誕生ですね」

隣で空を見上げる女を横目におれは頭を抱えそうになった。


「部屋・・・」

見渡せは、無数に散らばる家具の破片や残骸。

窓だったところは大穴どころか吹き抜けになっており、際に経てば閑静な住宅外が一望できる。

天井は吹き抜けになっており、真昼には燦々と輝く太陽の光を存分に浴びることのできる。

扉だったところは外され階段から登ってくるであろう住人の声が聞こてきそうだ。

匠の技で出来上がった母屋は・・・もういい。

現実逃避はやめよう。

明らかにビフォーアフター的なノリすら不可能なただの廃墟だこれ。

今にもヤンキーや廃屋肝試しツアーの人たちが現れそうだ。


「・・・どうすんだよこれ。絶対怒られる」

怒られるで住むようなことじゃない。つか警察とかが絶対来る。

つか、なんで来ないんだよ!さっさと来いよ!

哀れな一大学生が変なもモヒカンに殺されかけたんだぞ!

家もめちゃくちゃだ!どうすんだよこれ!

俺は混乱の極みに達し、思考がめちゃくちゃだ。

「ん?あぁ大丈夫ですよ魔王様」

「どういうことだよ」

俺は泣きそうになりながら隣のきょとんとした顔の女を見つめる。

きゃっと若干頬を赤らめたこいつがなんかむかつく。

いや、八つ当たりはやめよう。

それより大丈夫ってなんだ?

「今のこの空間は元の世界から隔絶されています。この空間で起こったことは現実には作用しません。」

「ん?どういうことだ?」

いや、なんとなく言ってることは分かる。

つか、分かりたい。これは願いだ。

「えっと・・・例えばですね」

人差し指を立てて埃まみれの女が言葉を発したとき

パキッ

世界にヒビが入り。

パリーーーーーーン

ガラスが砕ける音と共に瞬きした瞬間。

俺は元の部屋に立っていた。

「まぁ、こういうことです」

え?っと瞬きしながら周りを見回す。

壁にあった大穴は見事に塞がり、窓枠にはちゃんとガラスの窓がハマり。

吹き抜けの天井だった場所には雨風をしのげる屋根と天井があり、電灯が白い光を放って部屋を明るく照らしている。

扉が破壊され下へ続く階段があった場所には扉があり、プライバシーが守られている。

散らばった家具の残骸や破片はなく、ちょっと前までお茶を飲んでいた場所には、お茶をこぼした状態で床に染みを作っていた。

ビフォーアフタービフォー?匠の技だ。

じゃあねぇよ

「え?どゆこと??え?」

「だからぁ、あの天兵が降臨した時点で世界から完全に隔離した別の空間だったんですよ。で、あの天兵が新たな星座になった時に空間が壊れて・・・元の世界に戻ることができたんですよ」

「ふむ・・・?」

「簡単に言うと夢です」

「嘘つけ!」

「嘘です!テヘペロ」

イラっとして、取り敢えず頭を雑誌で叩く。

「いったーーー!なんですぐ叩くんですか!」

「まぁ、いいわ。で?とりあえずもうちょいわかりやすく説明してくれ」

「ん~良くないですぅ、・・・魔王様は結界ってわかります?」

「まぁ、漫画とかである程度は知ってる。・・・それか?」

「はい。簡単に言うとそうですね」

「ほ~」

「新兵や神側が人間に接触するとき良く使う手です。神託とかいって人間の前に出る時にこの結界を作って接触しますね。そのせいで接触された人間がいくら神にあった!とか天使を見た!なんて言っても、結界内に入ってない人間はそんなの見てないから頭のおかしい人認定するんですよ」

「ほ~」

なんか・・・すごいこと聞いた気がする。

「え?じゃぁなに?なんでアイツ等そんなことすんの?」

「さぁ?良く分かんないですけど。たぶん、その頭おかしい認定されてる人間をみて笑う為じゃないですかね?」

「はぁ!?意味わからん」

「天界のやつらはそんなのばっかですよ魔王様。とりあえずさっきまでいた空間で物がむちゃくちゃに破壊されても現実世界には影響ナッシングです・・・」

はぁ、っとすごいため息を吐きながら肩を下げる女は

嫌そうに窓から空を見上げた。

・・・

さっきのモヒカンといい、今聞いた話といい。

なんか今までのイメージから随分印象の変わる話だ。

天使っていえば白い翼を持ち・・・あった。

半裸で・・・半裸だった。

頭の上に輪っかを載せて・・・載せてたな。

空から光とともに・・・降りてきたな。

あれ?そのままだ?あれぇ?

あ、でも人間をおちょくる・・・笑う・・・あれ?

俺はまた混乱しながら頭を抱えた。




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