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悪役令嬢のままでいなさい!  作者: 顔面ヒロシ(奈良雪平)
春――観測不能なティーパーティー
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☆38 女の子の嗜みは身を助ける

※この作品はファンタジーです。

実在の陰陽術とは完全に別物です……。


「地獄耳ってやだなあ。ボクの電話、聞いてたんだ」


「んなもん、大声で喋ってる方が悪いに決まってんだろうがよ」

 五体満足でぴんぴんしてるカワウソは、首を傾げた。鳥羽君は不機嫌そうに眉間にシワを寄せる。


「お前がここに邪魔しに来たからには、もう手加減しないよ?暇つぶしの時間も終わったし……骨の一本から絶命までの間は覚悟しとくんだね」

「随分しゃれた辞世の句だなあ、水獣」

 低い声になった鳥羽君に、瀬川はからかうように笑う。


「カラスさんや。人生、分の弁えが大事だってことすら忘れちゃったのかい?」

「俺の辞書はんな言葉は棄てちまったな」


「諦めろよ、死ぬぜ?」

「おまえが、な」


「……じゃあ、遠慮せずに殺すさ」

「来いよ、後で白菊でも供えてやらあ」



 そんなことを語り合っていくうちに、徐々に高揚していった殺気が爆発した。最後のセリフを合図にして、2人は躊躇いもせずに互いの命を狩りにいく。


 ――恐ろしいことに、鳥羽君が普段は理性で抑えていた化生としての本能が覚醒してしまっていた。

 早速、カワウソへと向けられた攻撃の狙いが外れてアスファルトの表面を削り取った。近くにいた遠野さんが悲鳴を上げた。

遠距離攻撃とでも表現すればピッタリになるだろう、天狗の手から発射される風のカッターは、もしも柔肌に当たったら綺麗に切り裂くことは必至だ。

衝撃に傷めつけられた地面がそれを容易に想像させてくれる。


 神へと成りあがったカワウソを相手どるには、全力を出さざるを得ないことは分かるけれど。これじゃあ、鳥羽君が理性を取り戻した時には人間3人が巻き添えで全滅しているような、笑えないことになりそうだ。



 私は、ショックに固まっている白波さんを慌てて押しのけた。

「ちょっと、ここから離れるわよっ」


 その焦った声に。

遠野さんが、はっと我に返った。

「あ……、そ、外に……」


 巫女を担っている彼女は、外の世界と通じる鍵を持っている。

遠野さんが小走りで、この戦場から脱出しようと校門ゲートに震える手で触れようとすると。

 目ざとき水妖がその姿に笑いを絶やした。



「――遠野さんでも、今裏切ったら、流石に殺すよ?」

 シャボンが弾ける音がする。


 遠野さんが、ひゅっと息を呑む。

ほそい手首は、冷やかな他者によって強引に捻り上げられてしまう。

この場へとテレポートしてきたカワウソは氷の眼差しで、少女の手首を無慈悲に関節の限界までねじっていた。

 容赦もない扱いに。痛みを堪えた遠野さんが泣きそうな顔で瀬川を見上げる。


「ボク、仲間は大事にする主義なんだ」

 神様は甘い声色で、ひどく冷酷な言葉を巫女の耳に諭す。


「……仲間は、ね」

 彼は、目を光らせる。

ボクから逃げたらお前の命はないと思え――。

掴まれている遠野さんの手から、指先の力が抜けた。逃げる意思が崩れかけていくところに、瀬川は言う。


「君だって、この気持ちは分かるだろう?」

 睫毛が震えて。

……少女は、青白い顔色で力なくへたり込んでしまった。



「……うわっ!?」


 瀬川の頭頂スレスレに、とある人物から放たれた攻撃が飛来してきた。きわどくもすり抜けたときに髪先が鋭く一気に切り落とされる。かすかに散った。

彼はこわばった顔つきになって、急いで遠野さんの近くから退避する。

雨を媒介にして虚空へと姿をくらませると、スニーカーで鳥羽君を勢いよく蹴っ飛ばそうと顕現した。

一方、鳥羽君は頭上に出現した敵の気配を察知したのだろう……乱雑に振り払った右腕によって引き起こされた爆発的な風圧で、両者の身は弾かれた。


 距離をおいたアヤカシ同士、ギラギラ殺気をむき出しに対峙する――。



「女の子が近くにいるのに、襲ってくるなよ。鳥目」


 瀬川の言葉に、鳥羽君は相手を凄むように睨んだ。


「止まってる獲物を外すような腕はしてねーんだよ」



 遠野さんは、彼らの会話も聞こえないのだろうか。周囲をひたすらに拒んだ虹彩の瞳は、虚ろに俯いているだけだ。

 さっきから、瀬川を狙う鳥羽君の異能によって命が脅かされそうになってるというのに、彼女はなにか別の想いに囚われて……、足枷になってしまっているかのようだ。


 少しだけ、天狗は煩わしそうに右肩を動かす。その仕草で、脱臼させられた肩を無理やり戻して、ここに彼が来ていることに私は気が付いてしまった。

アヤカシの解剖学が人間と同じだとは到底思えないけれど、痛みは残ってるんだろう。何ラウンド目に戦いが突入しているかは知らないけれど、疲労で消耗もしているはずだ。

長期戦になったら鳥羽君の肉体は耐えられない……。



「いくら狙い撃ちが上手くとも、水妖とカラスの相性が悪いのは変わらないよ?

お前の翼は濡れれば飛行が鈍るし。ボクは雨の中で跳ぶ、神の御業をこの信仰で獲得した……ボクは妖力が120%、お前は1年もこの学校にいるのに、それっぽっちしか力を持ってない」

「うっせーんだよ!?」

 鳥羽君は噛みつかんばかりに吠えて、がむしゃらに異能を振るう。

幾方向からのウインドカッターが集中的に向かってきたのに、瀬川はにやにや笑って指先を鳴らす。


 ――キ、ン、……パシャッ

 水球の破裂。

傷一つなく空中の座標へと跳ぶと、カワウソはおもむろに両手を動かした。

ピアノの演奏者みたいに手のひらを広げると、そこから水流が勢いよく溢れだす。

 この水妖がマリオネットの糸を手繰るように指先を動かすと、渦を巻いた液体も遠隔で操作されるらしい。

瀬川の指の表現に呼応して、意のままに液体は形状を歪ませて上下左右に流れていく。


そうして創られた、見上げるまでに巨大な水の蛇がとぐろを巻いて鳥羽君へと襲いかかった。

気が付いた鳥羽君は、目を見開いた。魚雷を思わせるようなスピードでばく進してきたそれは、あっという間に迫って彼の足首を捉えようとしていた。

鳥羽君のこんなに余裕のない表情を、私は初めて見た。

間髪入れずに放った風の異能が一閃して、水蛇の鎌首を寸でのところで切り取った!!


彼のポニーテールが乱れてなびく。


 これによって輪切りになった水は、儚く形を崩して、重力に従ってばしゃりと音をたてて墜落していく……。マリオネットの糸が切れてしまったのか。


 先ほどの天狗が負けてしまった原因が分かった。

カワウソは、苦にもならず蛇の頭を復活させてしまったのだから……。変幻自在な水の流動性を生かして、いとも容易く失ったパーツを補ってしまう。不定形の利が存分に発揮されているのだ。

 そうして再び、水の塊はのたうって敵に喰らいつかんとする。鳥羽君は旋風をぶつけて向かいうった。

 戦況は、天狗の防戦になってしまっている。




「……とばくんっ……」

 白波さんが、体勢が崩れかけた彼に叫んだ。


 ……今の現実が夢なのだろうかと疑いを持つことすら忘れてしまったようだ。

攻防戦を繰り広げるアヤカシたちへ、白波さんは透明な眼差しに恐れを宿して立ち尽くしていた。自動車に轢かれそうになった猫のように固まっている。


「遠野さん!」

 私は、カワウソ巫女である遠野さんに駆け寄った。アヤカシの戦闘の近くでしゃがみ込んでいたからだ。

少女はこちらへ顔を向ける。美しかった三つ編みは乱れてほつれていた。


「そこに居たら、巻き添えになるわよ!?」

 丸くなっていた遠野さんを強引に立たせる。

彼女がこの空間から外に逃げてくれれば、あの狐がここに辿りつけるだろうけれど……、


「……放っておいて、よ」

 未だに敵意が抜けていない瞳と対面して、これを強要するのは無理そうだと悟った。


 あくまでも彼女の意思と一存によって開くゲートである。

その説得にかかる時間を考えると、私では彼女を懐柔することはできないだろう。


 この状況で、私たちのために命を張って学校とのゲートを繋いでくれ。

……というヘルプは遠野さんの利益になることは皆無に等しく。こちらに都合が良すぎる。

 不平等なお願いは今度こそ許してもらえない。



「いーから、早く……」

 早く、安全な場所に行こう。

そんな思いを込めて伸ばした手が払いのけられた。


「……とって、つけたように優しくしないで」

「意地を張らないで頂戴!このままじゃ遠野さんだって死んじゃうの……」

よ、と。最後の1音を言おうとした時、

私たちのすぐそばの地面に何かが直撃して、ドーンと小さな地響きをたてた。砂利が辺りに飛び散る。

 ……背筋にいやな冷や汗が流れた。鳥羽君による流れ弾である。



「きゃあっ!」

 白波さんの声に振り向くと、今度は彼女の後ろに流れ弾が落ちていた。ちょっと、これズレてたら白波さんの頭に当たってたんじゃないの!?


 悠長なことしてられない。

 この2人の様子じゃ、近くの並木までの誘導が精一杯だ。

 とにかく強情な遠野さんのそばに白波さんを連れて来て、一緒くたに防御結界の中へ入ってもらった方が手っ取り早い……。結界を作ったあとは自己責任で活用してもらおう。

 本当はもう少しいい場所を選びたかったけど、桜の木を背にすれば壁代わりにもなるでしょう!



「……白波さん、大丈夫!?」

 遠野さんよりアヤカシの遠くにいるからと、後回しにしてごめんなさいっ!

 頭を守るように抱えていた白波さんを、掴んで木陰に引っ張り込んだ。

彼女の潤んだ瞳から、涙がこぼれていくのが視界の端にうつった。恐怖にカタカタ震えながらも、しゃくり上げるのを我慢しようとしている。


 桜の太い幹からは黒い影が広がっていた。空の太陽を見失ったこの世界の明暗はどことなくのっぺりとしていて。

安上がりに製作された映画のフィルムみたいにリアリティが褪せてる。

いつかの脳貧血が再来してもおかしくないほどに白くなった顔の白波さんへ、私は告げた。


 「ここで、じっとしてて」


 『なんで?』とも、『どうして?』ともきかずに、彼女はひたすら頷いた。お江戸の木製カラクリ人形が首を揺さぶっている、あの具合だ。

 遠野さんも危険地帯から、白波さんの隣に力ずくで押し出した。嫌がるようにもがかれたけれど問答無用で桜の後ろに突き飛ばして転ばせた。

人命救助のつもりだけど悪役みたいなやり方だ……、もとい私って悪役令嬢だからいーのか。



 ……気を引き締め。

小刀をポケットから取り出し、鞘から引き抜くと。その刃を見た遠野さんが怯えに身を竦ませた。


 あんたに刺さないっつーの!

通り魔でも見るような目をした遠野さんをシカトして、私は並木道に小刀を突き刺した。

 桜の根は地上の近くにあるらしいけれど、悪いが人間至上主義でいかせてもらう。


 本降りの雨の中で、桜の枝が構わない、というようにざわめいた気が……。

 ……いよいよ私もどうかしてるらしい。


 私が、雨によってやわくなった地面に大きな円をラフに描いていくと、泣いていた白波さんが戸惑っているのが気配で分かった。遠野さんも怪訝な面持ちでそこに居る。

 説明する時間が惜しい。

この線画がなくてもできる結界ではあるけれど、基礎を固める作業を省きたくなかった。

2人を囲むくらいの大きさの歪みまくった円形が完成したところで、私は早口に呪を紡ぎだす。



「――急急如律令、基霊粛練指ノ――」


 古き真言から派生し、明治に戦闘特化で改良されたという日月呪。それを、キーワードで短縮せずにちゃんと今は詠唱していく。


 私の身体に封じ込めてあった霊力のシバリを解き放つと、髪の先が白っぽく変色していくのが目視せずとも分かった。

驚くこともない、いつものことである。髪には霊毛という程に主の力が宿りやすいため、制御が甘くなるとこうした現象が起こるのだという。


 指先へエーテルを馴染ませながら、防御結界の効力が長時間続くように力を練り上げ……このぐらいで足りるだろうか。

右手に握った小刀が、伝導される呪によってオパールさながらに輝きを増してゆく。



「――けっするは、ヘキ!!」


 私はそう発して呪文を成立させると、足元にかるく小刀を突き立てた。

簡易に代用された呪具のナイフから――勢いよく放出されたエーテルが白き光環となり、波うって小石の転がった地上や円の縁に伝わる。

 パチパチ鳴った音と一緒に、私たちの頭上へと半透明な半球の結界が編み上げられて覆いかぶさった。


 完成した力作の防御結界が、ぽややんっと大きく揺れる。


 遠野さんがあんぐり口を開けた。

敵味方、緊迫した空気のはずだったけれど、……そよ風に弾む不思議ドームに、おマヌケな空気がちょっとだけ流れた。


 え~と。

ぷにぷに感はしていますが、これでも大妖の攻撃を5回は防げる仕様の結界になってはいるんですよ。

……やや曇っただけで外が充分丸見えだし、見た目も頼りないしで。一般人の為に作っても、

攻撃にビックリして結界の中から逃げ出してしまわれた前例がかなり報告されている、嫌なシェルターではありますが。


 ほんと、使うかどうかは自己責任でお願いします。



「まほ……「陰陽道ですっ」」

 白波さんが結界を眺めながら呟いた平仮名に、私は速攻で上書きした。

力一杯、そこは主張させて欲しい!


「……これ、一応5回までなら、妖怪の攻撃が当たっても平気な防壁なの。回数限定の結界だけど、逃げるのに使ってちょうだい」

 エネルギーを受け流す度に消耗していくものなので、ふわぽよ結界に入ってれば安全だと迂闊にはいえない。

 遠野さんが、唖然としている。


「なんで、私まで……」

「勘違いしないで。私が勝手に作っただけよ」


 人助けなんて、自己満足でしかない。

全ての救いきれるような、ヒーローになんか一生かけたってなれないだろう。

もがいて、あがいて血反吐をはきながら掴み取ろうとするしかない。

 ――陰陽日月呪。

万人が恩恵を与れる科学と袂を分かった、誰もが使えるわけじゃない技術。

神やアヤカシとの戦闘の為に、改良され続けた人類の足掻きの結晶がここにある。



「でも……、感謝してくれるんなら、購買の果汁グミを後で奢ってくれると嬉しいかも」

 私はそう言って、微笑んだ。

鏡で練習する必要もないくらい、空元気な作り笑いはとっくに表情筋に馴染んでいた。

 さあ!

小刀を持ち直して、立ち上がれ。


「その時は、レモン味でお願いします」


 ブレザーの金ボタンを外し、脱ぎ捨てながら。己のリミッターを切った。

 眠っていた脳領域はフルスロットルに目覚めていく。まだるみから冴えていく思考が、とてつもない恐怖の津波に呑み込まれる。

 いつも一緒であった兄がいないのに、死という漠然とした闇が広がる場所へ踏み込もうとしていくことに、凍りつくような思いを抱く。

冷えている指先。これからの危機を察知したドーパミンは頭の全てを浸していた。


 鼓動が聴こえる。

ここに、人間が生きている音がする。



「……急急如律令、基霊粛練指!」

 

 前を向いて叫べ!


「纏阻傷痛損身、補力腕脚――異装、剣刃!!」


 集わせた霊力が具現化していく。

小刀全体が熱くなり、ぐにゃりと溶けた金属のように変形して一振りの細き日本刀へとフォルムを変えた。

【ヨロイ】に【バッタ】、【ヤイバ】まで惜しみなく使う。

 軽い白銀の刀を下げて、口を開く。


「白波さん」

 私は、涙を浮かべた女の子に言い残すことにした。


「――ごめんなさい。私、いってきます」


 ……返事は聞きたくない。

白波さんが何か言う前に、桜の木から離れた。




 見上げると、グラウンドの上空を飛びながら、瀬川と戦っている鳥羽君がいた。

私は、1人であの夜にツバサを広げていた姿を思い出す。

それを見たら居ても立っても居られなくて、走り出した。孤軍奮闘な彼を眺めるのは2回目だけど、今度は黙って傍観してなんかいられない。

アヤカシへ助太刀をする理由づけなんか後回しで、ただ剣を抜くことだけを考えていた。


 ……野蛮な女扱いでも、男友達同然でもいーから今生の別れなんて御免なのよ!バカ天狗っ


 鎧を着ているくらいに頑丈に呪文をかけた肉体は、筋肉が獣より強く躍動する。

いくじなしで臆病な心の悲鳴を黙殺して、私は握りしめた霊刀にエーテルを注ぎ込んだ。

――鳥羽君へ絡みつこうとしていた水の蛇めがけてヤイバを振るい、そのチャージしたエネルギーを気合を入れて放出する。



「チラセ(根止絶霧散)ェ!」



 衝撃波へと変換された霊力が真っ直ぐに突き進んで、水の渦にぶつかって小さく爆発した。瀬川の妖術が、霧散の術によって流砂のごとく塵となって打ち消されていく。ふいをついた第三者による呪いに、鳥羽君がこちらを見て瞠目した。


「おま……っ」

 驚く鳥羽君に。


 もう愛想笑いも止めて。

私は日本刀をいつでも振るえるように構え、無表情に言った。


「……実は私、ちょっとした特技で霊撃が出せるの」



「今の、ちょっとってレベルじゃねーぞ!?」

「この威力になると、チャージタイムは25秒ほどかかっちゃうのよね」

「俺が聞きたいのはそこじゃねえ!その情報は大事だろうけどなっ」


 土日放送枠の魔法少女の必殺技並みの所要時間である。そして、霊力の消費も激しい。アヤカシの異能に比べ、人間の呪術はこの脳内処理時間ロスタイムからは逃れられない。


「副業は学生、本業は陰陽師よ」

「あー、そーかよっ」

 鳥羽君が前髪をくしゃくしゃにして、私のカミングアウトにやけくそのように叫んだ。


「プールの時、やけにスタイルがいいと思ったら、そーいう事情かよっ」

「……衝撃波ぶつけるわよ?」

 どーいう納得の仕方だ!



 私と鳥羽君の掛け合いに、誰かが笑う声が聞こえた。

 グチャグチャにぬかるんだグラウンド。叩きつけるような雨。

ミストと砂塵に包まれて立っているカワウソが背を伸ばして、こちらに視線を送ったのだ。目を輝かせて、瀬川は笑いながら呟いた。


「……先輩、やっぱ最高だよ」



【2015/02/06】大幅に改稿しました。

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