始まりのトキ
外伝っぽいものです…
読みにくいかとも思いますが、最後までお付き合いいただけると光栄です<(_ _)>
俺たちは昔、大きな大きな約束を、その小さな小さな体で誓い合った。その時の俺はまだ、たったの五歳で、その約束の大切さを深くは理解しきれていなかった。ただ、今目の前にいる子が大好きで、いつまでも一緒にいたいと思っているだけだった。
秋の夕暮れ、緑は同じ保育園の女の子と一緒に近くの公園で遊んでいた。公園の花壇にはコスモスが咲き誇り、そのいろいろな色をつけたコスモスたちは、風が易しくそよぐ度に心地よさそうに揺られている。黄色い帽子に黄色いカッポウ着。背丈も体つきも一緒で、違うと言ったら女の子の髪が長く、二人の穿いているものがズボンかスカートかというくらいだった。
二人は楽しそうに砂場に座りこんで泥だらけになって遊んでいた。
「私だけを好きでいてくれる?」
ある日、目の前の女の子は目を輝かせて訪ねて来た。
「うん」
緑は深く考えもせずに気前よく返事を返す。
「いつか私をお嫁さんにしてくれる?」
「うん」
「私の事を忘れないでね?」
「うん」
「じゃあ、約束」
そう言って二人は元気良く指きりゲンマンをした。
「ゆーびきーりげーんまーん……」
二人は小指を握り合わせたままほほ笑みあうと、手をつないで歩き始めた。
二人の前には、つないだ手で繋がった影が長細く伸びていた。二人が歩けば、影も一緒についてくる。
そんな二人を、秋の生暖かい風が包み込む。その約束がどれだけ危ういものなのかを、その時の二人は知らなかった。知る由もなかった。
あの時と同じ、生暖かい風が緑の周りを漂う。
あの時の自分が、とても懐かしかった。
あの幸せな時間に戻れたらと、何度願っただろう……。
そのために、大切な人を傷つけ、失った。
どうにかして取り戻したいという衝動に何度も駆られたけれど、出来なかった。
自分にはまだ何か足りないような気がしていたから。
そしてそれを見つけるために、自はこんな所にいるのだから――。




