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天国と地獄

作者: Mr.あいう

昔々、神様は現世と来世を作りました。

そして、現世で人間達が悪さをしないように、来世を二つに分けるよう天使に命じたのです。

神様は言いました。

「一つは人間達をあらゆる法から開放した自由な世界に。そしてもう一つは人間達をあらゆる法で縛りあげた不自由な世界にしよう」


天使達は早速工事に取り掛かりました。

そして、長い期間を経た後、ようやく二つの世界は完成したのです。

神様は自由な世界を、善良な人間が行く事の出来る世界に。

不自由な世界を、それ以外の人間が送られる世界にしました。

そして、間違いのないように自由な世界を『天国』、不自由な世界を『地獄』と名付け、それぞれの入り口に看板を立てかけました。字を書いたのは神様です。

神様は世界と、自らの作った看板の出来栄えに満足して、また他の世界の設計に取り掛かり始めました。


そんなある日の事、神様の元に天使がやってきたのです。

なにやら急いだ様子です。

「神様!」天使は言いました。

「神様、神様が御造りになられた『宇宙』という世界で不具合が生じております」

「ふぅん、一体どういう不都合なんだ?」

神様は天使に尋ねます。

「はい、それが、現世では何とか上手くいっているのですが、来世の方に問題が……」

「それはおかしい」と神様。

理由を探る為に自ら現地に赴く事にしました。


来世にたどり着くと、神様は首を傾げました。

「天使よ、万事順調にいっておるではないか。地獄では人間達が互いに傷つけあい、苦しみ罰を受けておる。そして、天国では人間達が穏やかに平穏な暮らしを続けておる。一体どこに問題があると言うのだ?」

「それが…………」

天使は、神様を来世の入り口の方へと促しました。

すると……。


「なるほど…………これは問題だな」

神様は看板を見て言いました。

神様が『地獄』と言った方には『天国』と書かれた看板が立てかけられており、

神様が『天国』と言った方には『地獄』と書かれた看板が立てかけられておりました。

「このように、現世で善良であった人間が、何故か自由を手にすると皆傷つけあい、現世でどれだけ悪人であった人間でも、完全な不自由を手にすると何故か皆穏やかになるのでございます」

「ふぅむ…………」少し考えた神様は、両方の看板を入れ替えました。

「これで問題あるまい」

こうして、この世界の問題は解決されましたとさ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] シンプルなのに深くて面白いSFショートショートです。 最初のセリフでゾクリとしました。 不吉な予感どおりの展開になってしまい、考えさせられました。 [一言] 「善良」の基準が気になりました…
[良い点]  上から目線で管理する人間の思惑が見え隠れするのがいいですね。会社の上層部みたいです。  たぶん、人間が神様だったらこんなものでしょう。 [気になる点]  宗教観との絡みが欲しかったですね…
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