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神様にプロポーズした

作者: ヤナギ
掲載日:2026/06/22

『神様』のような高校生がいる。

体は女子だから、『女神』と言うべきだ、という人かもしれない。

けど、僕からしたら『神様』だ。

いつも図書館で会うけど、読んでいる姿が凛々しく、神々しい。

見た目は長い黒髪で、可愛いけど、賢そうで格好よくもある。僕が中学生だから余計そう見えるのかもしれない、だって『神様』は高校生なんだから(いつも制服を着ているからそうなんだろう)。


いつもは小声で話しかけて適当に返されるって感じだけど、今日は思いきって連絡先とか聞いてみよう、ダメって返されるかもしれない、もしかしたら2度と会話ができなくなるかもしれない。


でも、このドキドキは、もう抑えられない。

一目惚れしてからずっとある、人生初のドキドキは。




「まったくさ、図書館って本を読む場所なんじゃないの? 私、お話なんてしたくないんだけど、用事もないのに」

頭をかきながら、面倒臭そうに言ってくる『神様』。


「適当に産まれてすぐに死んでいくヒトなんかと仲良くなってもなー。

あー、困った困った私を困らせた、神様の私を困らせた」

『困った』を連呼する。


でも、僕にはよく聞こえない。

胸が苦しくて、苦しくて、それどころじゃない。


この胸の苦しみは、いつも感じていたドキドキじゃなく、

ズキズキで。

血を吐いてもおかしくないくらい痛く。

すぐに死んでしまいそうで。

刺された訳でもないのに。

図書館の中じゃなくてよかった、床は汚さない、とも思って。


『あの生活』でも感じなかった、胸の痛み。


「ねえ、苦しい?」

笑顔で『神様』は歩いてくる。

そして、うずくまる僕の前で『神様』はしゃがみ、

「私を困らせたからだよ? この世界の神様を困らせたから。困らせることをしたらダメって知らない?

私が困ったら相手は自動で胸が苦しくなって死んじゃうルールなの。

苦しい? 今どれくらい苦しい?」

ニコニコとしたまま聞いてくる。


ああ、この『神様』は本当に『神様』だからヒトの苦しみにも鈍感なんだろう。

僕は『神様』にプロポーズしたらしい。




このまま死ぬのは嫌だな、もっとしたいことがあるのに、まだ中学生なのに。


何か死なない方法。


「ほ、ほんが好きなんですよね?」

「あれ、まだ喋れるんだ、意外」

純粋に目を丸くする少女。


「僕が書くから、面白い物語を書くから、だから死ぬのは」

「いいよ」

即答。

胸の苦しみもすぐになくなる。


「面白いこと言うね、キミ。オリジナルの物語を書くから読んでくれ、すごい楽しみ。

自信のほどは?」

「しょ、小学生のとき、小説家だったから」

「わっ、運いいな、私。ライン交換しよ?」

願いも簡単に叶ってしまい、

「早速作ってよ、図書館の中で」

手も握ってきて、


『神様』なのに体温あるんだ、と感動し、すぐに僕の命の綱渡りについて考えるのであった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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