神様にプロポーズした
『神様』のような高校生がいる。
体は女子だから、『女神』と言うべきだ、という人かもしれない。
けど、僕からしたら『神様』だ。
いつも図書館で会うけど、読んでいる姿が凛々しく、神々しい。
見た目は長い黒髪で、可愛いけど、賢そうで格好よくもある。僕が中学生だから余計そう見えるのかもしれない、だって『神様』は高校生なんだから(いつも制服を着ているからそうなんだろう)。
いつもは小声で話しかけて適当に返されるって感じだけど、今日は思いきって連絡先とか聞いてみよう、ダメって返されるかもしれない、もしかしたら2度と会話ができなくなるかもしれない。
でも、このドキドキは、もう抑えられない。
一目惚れしてからずっとある、人生初のドキドキは。
「まったくさ、図書館って本を読む場所なんじゃないの? 私、お話なんてしたくないんだけど、用事もないのに」
頭をかきながら、面倒臭そうに言ってくる『神様』。
「適当に産まれてすぐに死んでいくヒトなんかと仲良くなってもなー。
あー、困った困った私を困らせた、神様の私を困らせた」
『困った』を連呼する。
でも、僕にはよく聞こえない。
胸が苦しくて、苦しくて、それどころじゃない。
この胸の苦しみは、いつも感じていたドキドキじゃなく、
ズキズキで。
血を吐いてもおかしくないくらい痛く。
すぐに死んでしまいそうで。
刺された訳でもないのに。
図書館の中じゃなくてよかった、床は汚さない、とも思って。
『あの生活』でも感じなかった、胸の痛み。
「ねえ、苦しい?」
笑顔で『神様』は歩いてくる。
そして、うずくまる僕の前で『神様』はしゃがみ、
「私を困らせたからだよ? この世界の神様を困らせたから。困らせることをしたらダメって知らない?
私が困ったら相手は自動で胸が苦しくなって死んじゃうルールなの。
苦しい? 今どれくらい苦しい?」
ニコニコとしたまま聞いてくる。
ああ、この『神様』は本当に『神様』だからヒトの苦しみにも鈍感なんだろう。
僕は『神様』にプロポーズしたらしい。
このまま死ぬのは嫌だな、もっとしたいことがあるのに、まだ中学生なのに。
何か死なない方法。
「ほ、ほんが好きなんですよね?」
「あれ、まだ喋れるんだ、意外」
純粋に目を丸くする少女。
「僕が書くから、面白い物語を書くから、だから死ぬのは」
「いいよ」
即答。
胸の苦しみもすぐになくなる。
「面白いこと言うね、キミ。オリジナルの物語を書くから読んでくれ、すごい楽しみ。
自信のほどは?」
「しょ、小学生のとき、小説家だったから」
「わっ、運いいな、私。ライン交換しよ?」
願いも簡単に叶ってしまい、
「早速作ってよ、図書館の中で」
手も握ってきて、
『神様』なのに体温あるんだ、と感動し、すぐに僕の命の綱渡りについて考えるのであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




