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日ノ本元号男子  作者: 安達夷三郎
第七章、いくさば
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32/33

32話

大厄災から数年後、銀座。

復興の兆しを見せる銀座の街並みは、かつてのきらびやかさを取り戻しつつある。その一角、洗練されたモダンな空間が広がるオシャレな店に足を運ぶと、店内には、すでに懐かしい顔ぶれが揃っていた。

「ここ、俺の息子の店だから良かったらヒイキにしてよ」

カウンターの奥を指さし、健太がいつもの調子でニシシと笑う。

「どうも…」

ペコっと頭を下げる息子さん。

父親(健太)と違って大人しそうな雰囲気の青年だった。

「前会った時はこんなにちっちゃかったのに、あっという間で怖いわ人生」

大人っぽくなった朱里がグラス片手に話す。

「健太が結婚できたことに驚き」

「おい!」

「前に集まった時は五年前だっけ?そりゃ老けるよな〜……」

「朱里と美空だけ変わんねぇけど」

「あー、現代の技術フル活用してるから」

「私はまぁ色々と」

クスッと笑い合いながら、私は朱里と肩を組み、ピシッとピースサインをつくる。

「いや〜、みんな凄いよな〜………」

しみじみと蒼真が言うと、健太が「お前だって名の知れた社長様じゃん。地方の工場を一代で広げてさ〜」と軽口を叩いた。

「よっ、工場長」

「今度は店に社員を連れて来てくれよ〜」

「いや、俺はただの三代目だよ。好景気のおかげ」

「和希は今ゲームプロデューサーしてるんだって、最愛のゲーム会社の」

「それ知ってる!」

「あいつすげぇな!」

そんな思い出話や近況報告で盛り上がっていると、店のドアが開いた。二人の男性が足を踏み入れてくる。

「……あ、やっと来た」

朱里がちらりと視線を向ける。

一人は仕立てのいいスーツをビシッと着こなした男。もう一人は対照的にラフなコート姿で、手には何かのお土産らしき紙袋を下げている。

「おー、委員長と和希じゃん」

「我らが出世頭の委員長議員が来たぞー!」

「誰が委員長議員だゴラ」

「口の悪さは変わってなかったね」

「それな」

「すげぇ!飲み会に現役議員が来るなんて。自慢しちゃお」

やれやれと溜息をつきながら椅子に腰掛ける委員長へ、健太の息子さんがサインペンを片手に近づいていった。

「あの、うちの壁全体にサインください」

「それはちょっと……」

「国会会議?リアタイで見れるやつにイインチョーが出てたら爆笑しながら見てるわ」

「分かる」

「マジかよ……」

頭を抱える委員長を横目に、コートを脱ぎ終えた和希に声をかける。

「和希は今何のゲーム作ってんの?」

「信玄ちゃんが天下統一目指すやつ」

「それはまた……独特なゲームだな」

「ちゃんと歴史監修も入ってるし、戦略要素も硬派だぞ?」

「あのゲームがサ終しそうになった時、めっちゃ上と掛け合って、自分がプロデュースするからってことでサービス続行したって聞いた時、尊敬したわ」

「今何周年だっけ?」

「今年で三十五周年だ!」

和希は指を三本立ててから、さらに指を二本足しそうになってやめた。

「古参ユーザーがプロデュースしてるって、すげぇな、おい」

ふと、思い出したように健太がニヤニヤしながら言った。

「委員長には感謝しかないわー。営業成績の半分は同級生ネタで会話広げてるし。『鷹宮(たかみや)議員の学生生活が知れるお店』として人気テレビ番組が取材しに来たからな」

「このオッサン、バリバリ営業に使ってますよ」

息子さんが健太を指差す。

「だからしばらく委員長議員って党内で言われてたのかよ……」

話が一段落したところで、カウンターの奥から息子さんが姿を現した。

「お待たせしました」

テーブルに次々と料理が置かれていく。

「すげぇ、貴族になった気分」

「ローストだ!ロースト!」

「美味しそう」

「じゃあ、冷めないうちに食おうぜ」

さすがオシャレタウン、銀座。さすが銀座にお店を構えるだけあって、めっちゃ美味しい。

それから二時間くらい昔話に花を咲かせていたり、料理を食べていたりしていたら、あっという間に時間が流れてお開きになった。

「じゃーまたねー」

「また集まろ〜」

「バイバーイ」

それぞれコートを羽織り、店の外へと散っていく。

外は少し寒くて風が冷たかったけど、火照ってる体にはちょうど良かった。

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