光の証明
という事で。懐中電灯。
そして、魔力充電機。
完成。
机の上に並べられた試作品を前に、私は腕を組んだ。
まずは懐中電灯。
円筒形の木製筐体。
内部に魔石を装填。
簡易スイッチを押す。
――ぱちり。
白い光が、真っ直ぐに伸びた。
「おぉ……」
思わず声が漏れる。
成功!光は安定している。
揺らぎも少ない。
魔石の魔力が、導線を通じて前方へ放出されている証拠だ。
次に、魔力充電機。
魔石を固定枠に嵌める。
外部供給側の魔石を接続。
流量制御枠を通じて、魔力を移す。
分析。
充填率:上昇。
ちゃんと、充電している。
完璧だ。私は椅子に座り直し、少し考えた。
ふと、思ったのだ。
ならば魔石を介さず、自然エネルギーで充電出来ないか?
前世の記憶を辿る。
水力発電。水車。回転。エネルギー変換。
私は庭の小川を利用して、小型の水車型発電機を作ってみた。
木製の羽根。回転軸。簡易変換枠。
魔力誘導結晶。回転。
そして、魔石へ接続。
分析。
魔力充填:微量上昇。
……出来た。
小さいが、確かに充電されている。
つまり魔石は、魔物由来でなくとも、充電可能。この世界の“エネルギー”は、流動する。
しかし。
如何なってるの、この世界のことわり。
魔力。物理。変換。
理屈が合う様で、合わない。
……深く考えるのはやめよう。
原理はともかく、使えるなら良い。
私は懐中電灯を握りしめた。
これがあれば夜間作業、警備、坑道、家の中に用途は無数。
充電機があれば、繰り返し使える。
水車型なら、半永久的供給も夢ではない。
これは内政を超える。
産業だ。エネルギー産業。
私は立ち上がった。
いよいよ。お父様にプレゼンね。
執務室。
父はいつもの様に書類を読んでいた。
隣には、例の文官。
彼は何も聞かされていないらしく、落ち着かない様子だ。
何が始まるか分からず、少しドギマギしている。
別々に話すのは面倒だ。
この場で、説明するわ。
「お父様。本日は、新しい提案がございます」
私は机の上に、懐中電灯を置いた。
父の視線が、それに向く。
「何だ、それは」
「光を持ち運ぶ装置です」
スイッチを押す。室内に、白い光が走る。
文官が息を呑む。
父の目が、僅かに細くなる。
「魔石を使用しております。さらに――」
私は充電機を取り出す。
「繰り返し使用可能です」
そして、水車型の設計図を広げる。
「水流でも充填出来ます」
静寂。重い沈黙。私は、はっきりと言った。
「魔石は、資源です。魔物由来である必要はありません。仕組みを作れば、産業になります」
父の視線が、真っ直ぐに私を射抜く。
文官は、設計図と装置を交互に見ている。
領地改革。素材市場。
そしてエネルギー。
私は微笑んだ。
「稼げます」
室内の空気が、確実に変わった。




