08
今日は
体が重い。
頭がぼんや
そして――腹が減っている。
つまり、最悪だ。
「……先に飯だな」
俺はそう呟いて、
ギルド併設の食堂へ向かった。
平和。
飯
……のはずだった。
「師範、おはようございま
「今日もご指導を」
「一言でも……!」
やめろ。
なぜ朝から列を作る。
無視して席に座る。
……落ち着く。
だが、
視界の端がやたらと
若い冒険者――
彼が、
やたら丁寧に。
「刃の汚れを落とすことで、心を整える……」
「これが、清掃流の基本……」
違う。
それは、
ただの手入れだ。
別の席。
中堅冒険者のリオが、
床に荷物を全部並べている。
「無駄を削ぎ、配置を整え
「師範は、常にそれ
見て
--
なぜか、
変な体操をしている集団。
「余計な力を抜け……」
「これが、“無為の構え”…
知らない。
勝手に技名を作るな。
俺は、
スープを一口飲んで言
「……それは」
「
全員が、
ピタッと動きを止めた。
「……!」
「基本……!」
「
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【チュートリアル】
【新規流派派生を確認】
【分類:非戦闘系】
【名称:清掃流/無為の構え】
勝手に登録するな。
食後、
食器を返却口に運ぶ。
その途中。
床の汚れが、
どうしても目に入る。
……
気づいたら、
布を取って拭いていた。
【チュートリアル】
【反復清掃行動を検知】
分かっている。
一瞬、
――終電。
――怒号。
――机が乱れていると、
なぜか
――掃除している時だけ、
余
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小さく呟く。
その背後。
「見たか?」
「あれが、“無
「戦場で生き残った者の……」
違う。
残業で生き残っただけだ。
昼過ぎ。
ギルドが、
妙
「報告だ!」
「Eランク
……?
名前を
カイトだった。
朝、
「討伐が異常に安定している」
「事故ゼロ」
「連携も完璧だ」
理由。
「清掃流を実践したそうです」
知らない。
カイトは、
真剣な顔で頭
「師範のおかげです!」
俺は、
「……それは」
「ちゃんと準備したからだ」
沈黙。
「……深い」
「努力を、教えと呼ばせない……」
だから違う。
【チュートリアル】
【“無自覚指導者”として再分類】
【世界評価:上昇】
やめろ。
夕方。
俺は、
いつものように棚を整理していた。
落ち着く。
背後から、
遠慮がちな声。
「師範」
「弟子入り、お願いします」
振り返る。
八人ほど。
全員、
装備が無駄に綺麗。
「……」
俺は、
深くた
「まずは」
「手を洗え」
全員が、
真剣な顔でうなずいた。
【チュートリアル】
【教義が増殖しています】
最悪だ。
俺は、
早く帰って寝たいだけなのに。
その日から。
街では、
「清掃流」が
正式な“流派”として
認識され始めた。
俺は、
そのことを知らない。
今日もただ、
床が気になっただけだ。




