何がしたいか
翌日。
朝早く起きてベランダで煙草を吸う。
久しぶりの家なのに全く前の世界の家と変わらないので、懐かしさは感じない。
あれから少し考えることが増えた、あの戦いを経て俺は強くなった。
でも、天黎を殺してしまった。
救えなかったことに今でも後悔をしている、人間とモンスターの懸け橋になるなんて言ったって結局俺は何も出来なかった、そんな状態で俺は何が出来るのだろうか?
ただ夢で終わらせる気はないし諦める気もないのでこれらか同じ志をもつ人と一緒に居たい、そんなことを思いつつ一人の少女についても思う所がある。
それはカストラだった。
彼女のGiftを知れば近づく人は少ないだろう、何故ならば触れてしまえば自分の命を奪ってしまうのではないかと考えてしまうのは当たり前だしそれに迫害されてしまう可能性すらある。
カストラ自体色んな所を旅していたと言ってたので勿論そんな過去があると分かるだろう。
それでも彼女は人と関わるのを辞めなかった。
でも最後に訪れたあの村で起きた事件で途切れてしまったことも事実、だが俺が居ることで再び希望を持ってくれたと俺は信じてる、だからこそこれからは慎重に動かなければいけない。
「おはようございます」
ベランダに来たのは桐生だった。
「おう」
「朝ごはんにするには少し早いですね」
「そうだな、桐生はどう思う?」
「何がですか?」
「聞きたいことが二つある、一つは俺が天黎を殺してしまったことだ」
「それは致し方ないことかと」
「そうか」
「でも、最後は希望を持ったのではないのでしょうか」
「どう言う意味だ?」
「未来が視えるモンスターだったんですよね?」
「そうらしい」
「なら人間の悪意に絶望しても御影様のように人間ともモンスターとも平等に見る存在が現れたんですから、それにその人に殺されるなら自分が悪者になってでも御影様に託したかったのではないでしょうか」
託したかったか、都合のいい解釈かもしれないがそれでも俺は桐生の言葉を信じてみることにした。
「もう一つはなんですか?」
「カストラについてだ、あの子は年齢で言えば高校生だ、学校に行くと言う選択肢もあるかなと思ってな、まあ本人の意思次第だが」
「そうですね、でも学校にどう説明をすれば良いのか、今までの学歴もないし違う世界から来たと言っても信じてもらえないことが殆どでしょうし」
「そうだよな、でもそれはなんとかなるよ」
「考えがあるんですね」
「ああ、一つな」
「それなら安心ですね」
そしてリビングでくつろいでいると暫くしてカストラが眠い目をこすって二階から降りて来た。
「おはようございます」
「おはよう」
朝ごはんを食べて、それから昼までゆっくり話をする。
この世界の話や今の流行りなど様々なことを話した。
「カストラ?」
「はい?」
「これからやりたいこととかないか?」
「やりたいことですか?」
「ああ」
カストラは少し悩んで答えが出た。
「私が此処に居てもいいって思いたいです」
「此処に居る意味か?」
「はい、好きな物を見つけて思いっきり楽しめる時間を作りたいんです」
「学校行くか?」
「え?」
「カストラは年齢で言えば高校生だ、この世界を知る為にも一つの選択肢だろう」
「学校ですか」
少し躊躇いを感じられる表情をした。
「少し考えます」
「分かったゆっくり考えてくれ」
「はい」
そうして元に戻ってからの一日はゆるゆると楽しんだ。
そして俺はとある人物に電話をかけてアポイントを取った。




