異邦人
「御影様」
部屋からベランダに心配そうな声をかけて来たには桐生だった。
「どうかしたか?」
「いや、今電話でもされていたのかと」
「まあそんなもんだ」
「そうですか、それに御影様が少し変わられたのではないかと感じていまして」
「特に変わってないよ」
「杞憂でしたね」
「ああ」
「朝ご飯が出来ていますので」
「分かった」
煙草を灰皿に捨てて、部屋に戻ろうとした時カラスが庭に留まった。
「なんだ?」
「どうかされました?」
桐生もベランダに出てきててその様子を見る。
「珍しいですね、カラスなんて」
「なんか足についてない?」
よく見るとカラスの足に白い物がついている。
恐る恐る近づいてみても逃げるどころか驚きもしないカラスの行動にこちらの方がびっくりするが、カラスの足の部分を触って白い物を取ると感触が紙だった。
「紙?」
「今時電書鳩は珍しいですね」
「いつの時代の人間だよ」
そう言いながら、紙を広げるとそこには。
《そちらの世界に一人の少女を送った、面倒を見てほしい。総帥》
「誰からですか?」
「知り合いだ」
これを見てあの時の出来事は夢ではなかったことを示される。
「中を見ても良いですか?」
「うん」
桐生が一目見て考え事をしていた。
「総帥って誰ですか?」
「俺も良く分からないがそれでも知り合いなんだ」
「そうですか、それより少女とは?」
「それが分からん、一体誰なんだ?」
書き方的に俺が居た世界で出会った少女だろうがそれでも、誰を何処で呼んだのか。それすらも分からないのにどうしろと言うのだろうか。
「取り敢えず、朝ごはんにしましょうか」
「そうだな」
その時インターフォンが鳴った。
「私が出ますね」
そう言って桐生はインターフォンを取り何かを話しているが戸惑っていた。
「どうかしたか?」
「それがカストラと言う少女が来ているらしいのですが、知っていますか?」
カストラ、それでピンときたまさかあの子をこっちに連れてくるとは。
「知り合いだ、通してくれ」
「かしこまりました」
そうして、数分経ってカストラが家に来た。
「お邪魔します」
リビングに来るが怯えているが俺を見た瞬間に緊張がほどけたらしい。
「御影さん」
「まさかこんな所で会うとはな」
「私も意外でした」
「お二人はどう言う関係なんですか?」
「説明は難しいし、長くなるがそれでもいいか?」
「それなら朝ごはんを食べて珈琲でも飲みながらにしましょう」
「そうだな」
そうして、三人で朝ごはんを食べて、ソファーに座りながら話をする。
こっちの世界では一日が俺が居た世界では何日も経っていて少女の護衛やカストラのことそして天黎のことも。
八咫烏との約束はしたがカストラをこちらに連れて来たと言うことは桐生くらいには話しても良いと言うことだろう。
全てを話すのに三十分以上話してしまった。
「そんなことがあったんですね」
「ああ、あの石は多分八咫烏が俺をその世界に呼ぶためのものだろう」
「では、モンスターに関しては?」
「分からん、だが関係性はなくはないだろうがそれでもそのモンスターとのことは何も知らない様子だった」
「あの、御影さん」
「どうした?」
「あの石がもう無くなってしまいそうで」
「それでこっちに来たのか」
「はい、すいません」
「謝る必要はないよ、しょうがないことだ」
そして俺はその場で三つ程石を作り渡した。
「これで大丈夫なはずだ、後で追加で何個か作っとくから安心してくれ」
「ありがとうございます」
カストラは素直で純粋な子だ、だからこれからが心配だ。
「カストラ?」
「はい?」
「これからどうする?」
「何も決まってません、施設の人に荷物をまとめて御影さんの所に行くとしか言われてないので」
俺に丸投げか。
「そうか、なら暫く家にいるか?」
「良いんですか?」
「ああ、桐生もそれで良いよな?」
「御影様がそう決めたのなら」
「分かった、じゃあ空いてる部屋に案内してあげてくれ」
「かしこまりました」
カストラはまだ十代のなかばだこれから色々考えないといけないと思った。




