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天黎

「此処は?」

『さっき言った通り清明の家だけどさ、広いでしょ?』

「ああ、今家に清明はいるのか?」

『さあ、今は居るか分からないけどもう少ししたら来ると思うよ』

九尾は縁側で寛ぎ足をぶらぶらしている。

『君も座りなよ』

そう促され俺も隣に座る。

『どう街並みを見て』

「んー、まあ皆幸せそうな顔をしているよ」

『でしょ、今の時代と違って娯楽も少ないけどそれでも皆楽しんでいる』

「今の時代に何か不満があるから此処に連れて来たのか?」

『いや、ただ会わせたかっただけ』

会わせたいって、今の俺に話せたり出来るのか?

そうして、少し待った後に一人の人間が目の前に現れた。

「来てたのか九尾」

『ああ、久しいね清明』

「ああ、まあそろそろだと思ったよ」

そうして、清明と呼ばれる男は縁側に座った。

見た目は四十代くらいだったがそれでも若い見た目をしていた。

「それでそこに座っているのが予言の子かな?」

「え、俺が見えるのか?」

「ああ、九尾に君を呼ぶように言ったのは私だからね」

「そうなんですね」

「ああ、それで本題に入ろうか」

「本題?」

「今君が戦っているのは零と言うのだろう?」

「はい」

「まああの子がこんなことをしでかしたのは、私の責任でもある」

「未来を視てそれに絶望したと聞いたんですが」

「そうだね、私も未来を視てきてそれを何度も止めようとしたんだけどね」

「清明さんと零は深い仲だと聞いてますが」

「うん、未来について語り合った仲なんだけどね」

「聞かせてもらっても?」

「うん、零。いや天黎これが本当の名前だ」

「天黎」

「うん、元々は夜明けをもたらす者って意味で付けたんだけど。今では夜を呼んでしまっているとはね」

確かにあのエーテルで空を夜に染めているのは事実だし、それにあれだけの力を持っているので俺がどうこう出来る問題ではない。

「それで、俺と話す為に呼んだのは分かりますがもう俺は死ぬのでは?」

「いや、まだそこまで行ってないよ」

「え、でも九尾が」

九尾の方を見ると既にそこには居なく、庭で土いじりをしたいるかと思ったら俺の方を向いた。

『私は君が死んだなんて言ってなよ』

「まじか」

『まあ頑張りな』

そう言って九尾は消えた。

「全く自分勝手なんだから」

「まあそう言わずに九尾も頑張ってくれたし」

「そうなんですか?」

「うん、私はもう長くない。君も知っての通り私は天黎を封印するために死ぬ」

「そうですね」

「うん、だから君に話をする為に連れて来たもらったんだ」

「でも俺に出来ることなんて」

「大丈夫、私は君を信じている」

「俺を?」

「うん、君が掲げているものは大切なものだからね」

もしかして、モンスターとの共存のことだろうか?

「千年だ」

「え?」

「私の体にはモンスターの血も入っている、いくら隠そうとしてもそれはいずれ露呈する。だからそのせいで色々と酷い目を見て来た、だから君みたいな人間を待っていたんだ」

「千年経ってもモンスターと共存を考える人間は居なかったんですか?」

「ああ、随分と色んな未来を視たよでも君しかいなかった。それだけ大きいことを君は可能にしようとしている」

まさかそんな大事になるとは思わなかった。

「長かったよ、でも数多ある未来の中でモンスターとの戦い方、殺し方を開発し続ける歴史の中で争うしか考えなかった存在の中で君は革命を起こそうとしている」

「そうですか」

「うん、戦うことで未来を作るのではなく手を取り合う道を模索するのは相当長い道になるぞ」

「分かってます、でも俺が成し遂げなくても良いんです。きっとこの先の未来に俺と同じ志を持つ人間は現れる」

「そうか」

「はい、なので道は作ります、未来は決まってないでしょ。だから希望を持って我々に任せてもらえませんか?」

「そうだね、頼むよ」

「はい、必ず」

「じゃあ、君にはこれを託そう」

「え?」

俺の手には何か光を放つものがある、それは暖かいがただの光にしか見えなかった。

「さあ、頼むよ御影君」


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