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人間でもモンスターでもない存在

そうして新たな力を手にした俺は神社を出たが、零が何処で現れるか分からないし何をするかは分からない状況で動いても意味がないので一旦家に帰ることにした。


「お帰りなさいませ」

「ただいま」

「お体はもう大丈夫ですか?」

「うん、今は零に集中しないとな」

「そうですね、ですが体を休めることも大切ですよ」

「分かってる、取り敢えず煙草吸って来るわ」

「お風呂沸いているので一本吸ったら入ってください」

「分かった」

そうしてベランダに出て、紙煙草を一本取り出す。

火を付けて煙を吸って吐く。

普段煙草を吸っている時に考えることなんてなかったが、ふと一つの疑問が浮き上がる。

俺が此処に居るのは零を倒す為、では零を倒せば俺は元の世界に戻れるのだろうか?

また何か難解な壁にぶつかってこの世界、はたまたまた違う世界に飛ばされるのか。

そんなの御免だ、俺は元の世界に戻りたい、だとすればやることは一つ零を止める。

『人間は難儀なことを考えるのが好きなのだな』

「あ?」

『こっちだ』

声は後ろの方だったので振り返ると神社で会った女性が立っていた。

「お前」

『お前とは随分と失礼な言い分だね』

「なんなんだお前は?」

『先ずはその口癖の悪さを直さんとな』

急に現れて一体なんなんだ、見るからにモンスターではなさそうだが。

「育ちは良くないんでね」

『晴明が言った通りだな、全く』

「安倍晴明の知り合いか」

『知り合いだよ』

ってことは少なくとも千年は生きてる。

「人間の線も消えたな」

『そうね、私人間じゃないもの』

「じゃあなんなんだ」

『九尾だよ』

「は?」

女性は人間の姿からアニメなどでよく見る狐の姿になった。

二本足で立ち着ていた服は消えて獣の姿になり、毛の色は金色で顔周りは真っ白だった。

『私の本当の姿を見るなんて前世で随分と徳を積んだんだね~』

「まさか、伝説の存在に会えるなんてな」

『そうでしょう、そうでしょう』

「色々聞きたいが、先ずは尻尾が九つなのは最初から?」

『変態』

「は?」

『結構恥ずかしいんですけど』

「千年生きてても恥ずかしいとかあるんだ」

『お前は一体私をなんだと思ってるんだ?』

「化け物」

『かー、最低ね』

「で、安倍晴明とどんな関係?」

『親友だよ、でも急にいなくなってさ。それでつまんなくなっちゃって人間の姿で色んな国に行ってたの』

「それでなんで急に日本に?」

『清明にね、頼まれたんだ』

「俺のことを?」

『そう、千年後に馬鹿を止める阿保が現れるからそれの手助けって』

九尾と言えば安倍晴明と契約を結んで、共に行動をしていたくらいしか分からないがそれでも手助けってことは取り敢えず味方か。

「その馬鹿ってもしかして零のことですか?」

『うーん、よく分からない』

「えー、まじか」

九尾は人間の姿に戻った、もう少し伝説の姿を拝みたかったがまあしょうがない。

『あの馬鹿の名前は誰も知らないんだ、清明以外は』

「じゃあ零は清明と親交が深かった?」

『うん、あいつは清明以外とは関わりを持とうとしなかった』

「寂しいな」

『あれ、子供ね』

「あんたに比べれば今生きてる人間全員子供だろ」

『女性に歳を問うなんて愚問だね』

「軽口はもう良い、俺は何をすればいい?」

『さあ、私は手伝ってやれって言われただけで、何かをしたやったり教えたりしろとまでは頼まれたないから、自分で考えな』

「分かったよ、じゃあ最後に教えてくれ」

『良いよ~、私は暇だからね』

「清明は俺に何を期待していた?」

『さあ、真面目な話しはしなかったから、でも一つだけ千年後に現れる阿保はきっと世界を変えるとだけ』

「世界を変える?」

『うん、ただ変えるんじゃなくて世界の常識を覆す存在になると』

「そうか」

『うん、私も分かんないし。後は自分で考えて。じゃあね~』

そう言い残し九尾は消えた。

全く自分勝手な奴だと思うと同時にきっと安倍晴明は俺に託したのではないか?

これは勝手な推測だがもしかしたら清明もきっと俺に除く本当の平和を望んでいたのかもしれない。


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