ヴァノリス
川で釣りを始めて数十分、何匹かの魚が釣れた。
「俺、釣りの才能あったかも」
うきうきしながら火元まで持っていき、木の棒に突き刺して焼く。見た目は川魚そのものだ。
数分後、焼き色がついてきたので一口かじった。
――全身に焼かれるような痛みが走った。
「かぁ…!」
身動きできず、痛みに耐えるしかない。
『阿呆が、それはヴェノリスだ』
「え?」
痛みに耐えながら声を絞り出す。
『耐性をつければ食えるが、毒は強力だ。処理を覚えろ』
「処理ってどうすれば?」
『ゲートの外でも河豚はいるだろ?あれも毒抜きしないと死ぬ。魚も同じだ』
「河豚か…なるほど」
『皮を剥ぐまでが命だ。食うのはその後だ』
「具体的には?」
『鱗と皮を剥ぎ、内臓は絶対に破るな。血抜きも忘れずに、身に残る毒を減らせ』
「光牙、詳しいな」
『サバイバル知識くらい身につけろ』
「了解」
俺は光牙の指示通りにヴェノリスを処理し、食べる。
最初は毒にやられそうになったが、段々と味を感じられるようになった。
「美味い!!光牙も食えよ」
『俺はお前のエネミーが尽きない限り存在できる。たとえ食えても、そんなゲテモノは食わん』
「そっか〜、結構いけるけどな。後は痺れがなくなればな」
『お前はもう大抵の毒なら耐えられる』
「ん?」
『ヴェノリスは攻撃性はないが、毒はモンスターの中でも最上級だ。その毒に耐性がついたなら、大抵の毒を持つモンスターでも大丈夫』
「俺って耐性ついたのか?」
『ああ。魚を食った経験もないのに数匹食って痺れしかないなら、耐性があると思っていい』
「なるほどな」
こうして、俺は虹色ゲートで生き抜く術を一つずつ身につけていった




