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過去を示す石

会長からコードゼロ発令の連絡を受けて数日。

この情報は瞬く間に全国へ広まり、テレビは朝から晩までこの話題を取り上げていた。

俺はニュースをぼんやり眺めながら、その重さをようやく実感する。

「コードゼロ、か……」

「何か気掛かりでも?」

珈琲を持ってきた桐生が、俺の隣のソファへ腰掛けた。

「正直、マモンと戦って思った。人間でゼロフィスと殴り合えたの、多分俺だけなんだよな」

「だからこそ御影さんが重要なんですよ」

桐生は迷いなく言い切る。

「マモンは普通じゃなかった。あれが“七人”のうちの一人だとしたら……」

「でも先の大会で、日本のハンターが世界に示した力は大きいです。各国も本気で動かざるを得ません」

「そういや、今の任務って全部ストップしてるんだったな?」

「はい。エーテル樹の討伐任務も中断されて、各国のハンターがそれぞれの国に帰っています」

「…… なら、もしゼロフィスがエーテル樹を“利用”してきたらどうなる?」

桐生の表情が固まる。

「そんなこと、可能なんですか?」

「可能性はゼロじゃない。あれだけのエーテルを操れたら…… 考えたくないが、確実にまずい」

エーテル樹――常に大量のエーテルを放出し、強力なゲートを呼ぶ原因にもなる木。

それをゼロフィスが吸収したら、マモン戦で見せなかった“何か”まで引き出してくるかもしれない。

正直、勝てる未来が見えない。

「桐生さんなら…… 圧倒的に強い相手と一対一で、しかも相手に援護がある可能性があったらどうする?」

「撤退です。一択です」

「それもできない状況なら?」

「…… 答えは出せないですね。 でも、私が御影さんと初めて会った時を思い出しました」

「虹ゲートが赤に変わった、あの現場か」

「はい。S級とA級ばかりの布陣で、援護も万全でした。 それでもあの惨劇…… 正直、生きて帰れるとは思ってませんでした」

桐生の声が震えた。

あのとき、俺が見ていた風景とは違う恐怖が、彼女の中に残っているのだろう。

俺は、もっと準備しなければならない――そう思った矢先、携帯が震えた。

相手は会長。

『御影さん、四日市に向かえますか?』

『何かあったんですね?』

『はい。桐生ハンターが追っているモンスターが確認されました』

『分かりました。すぐ向かいます』

通話を切ると桐生が立ち上がる。

「行きましょう」

「うん」

送られてきた座標を見ながら、俺はマイクロポータルを展開した。

***

四日市の現場に出ると、簡易本部がすでに設置されていた。

中から姫野さんが駆け寄ってくる。

「御影さん!」

「モンスターは?」

「防犯カメラに映ったんですが…… ハンターが向かっても誰も遭遇していません」

「どういうことです?」

「分かりません。ですが、御影さんが向かうのが最も確実だと判断しました」

「了解、行ってきます」

桐生も一緒に行くと言って引かなかったので、俺は黙って頷いた。

避難済みの民家が並び、人の気配のない坂道を進む。

山に近いせいか、空気がひんやりしている。

その時――イヤモニから姫野さんの声が入った。

『御影さん、そこです』

『ここって…… ただの公園ですが』

『エーテル反応は、まさにその位置です』

見た目には何もない。

ただし――公園の中央に、石のような塊が宙に浮いている。

エーテルを確認すると、Z級のエーテルが漏れ出していた。

「…… 嫌な気配だな」

「御影さん、気を付けてください」

「分かってる」

俺はゆっくりと石へ手を伸ばした。

指先が触れた瞬間――視界が闇に沈んだ。

そして、闇の奥から声が響く。

「さあ――最強の人間は、これをどう対処する?」



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