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人類の敵、コードゼロ

扉を開くと、空気が張り詰めた。

「御影君。まずは謝罪したい」

最奥に座るのは伝説のハンター、マーシャル・E・グレンフォード。

映像で何度も見た男。

“世界で最も虹ゲートを閉じた”存在。

「マーシャルと呼んでくれ」

柔らかさの裏に、嵐のような圧。

「先の大会で、我々は君を誤解していた。レオンが……あそこまでとは」

「加減はしたんですけど」

「……あれで、か」

会議室がざわつく。

御影は静かに言う。

「“世界最強”なんて肩書き、まだ実感ありません」

マーシャルはうなずく。

「しかし今、人類が最も頼れるのは君だ」

逃げ場のない現実。

御堂会長が映像を映す。

御影とマモンの戦闘。

「これほどの被害を……」

「本気でしたから。倒しきれませんでしたけど」

「倒せなかった……?」

「マモンには余力がありました。あれは時間稼ぎ」

空気が冷える。

さらに御影は告げる。

「“七つの大罪”の名の通り、あと六体が存在する可能性が高いです。

そして——ゼロフィスを作った存在がそのさらに上に」

会議室は凍りついた。

マーシャルが手を上げる。

「根拠は?」

「“自分はゲート内の研究施設で作られた”と語るモンスターがいました。

危険Giftの流通も同じです」

沈黙。

マーシャルはゆっくりと宣言した。

「ゼロフィスを“人類の敵”、コードゼロと認定する」

その瞬間、歴史が変わった。

「作戦は我々が立てる。君は君の戦いを続けてくれ」

「はい。いつでも呼んでください」

会議室を出ると、桐生が待っていた。

「いじめられてませんでした?」

「昨日の俺見て、そんな度胸ある人いないでしょ」

ふたりで笑う。

その一瞬が救いだった。

帰国。久しぶりの蕎麦は涙が出るほど美味い。

家で土産を整理していると、電話が鳴る。

『コードゼロが発令されました』

桐生が小さく言った。

「……人類存亡レベルの危機です。三十年前の巨大虹ゲート以来」

「そうか」

不思議と心は静かだった。

「じゃあ、気合い入れないとな」

「あなたなら大丈夫です」

その言葉に救われる。

日本の空気が、戦場の匂いを帯び始めていた。


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