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お礼

白装束集団は皆意識を失っていた。

「終わったか」

「御影、ナイスタイミング」

如月達が回復したのか起きて駆け寄って来た。

「御影君」

「青嶋さん、こいつらまだ死んでないので救急車と警察の応援して捕縛してください」

「分かった」

そうして、警察が立ち上がり手錠で白装束集団を逮捕した。

もう大丈夫だろうと俺はマモンと戦った場所まで歩いた。

考えたらきりがない、ゼロスフィア。

あちらは七つの大罪を自らのコードネームにしている、と言うわけはマモン以外にも同じ課それ以上の力を持つ奴があと六人はいるわけだ、さっきの戦いでは結構マジ戦ったつもりではあるがそれでもマモンは倒せなかった、これは俺一人が担える状況ではないし考えればマモン達の上に誰かがいないとも思えない。

国家規模どころじゃない。人知を超えた組織力だ。

背筋がぞくりと震えた。

誰かがマモンを作り出してゲートないで研究施設を作ることができる存在がいると考えると肝が冷える、そんなことを考えながら先ほど戦った所まで着いた。たた

周りの街灯は折れて草木は焦げている、客観的に見ても此処で何があったかを考えるのは難しいだろう。

街灯は根元から溶断されたように折れ、

アスファルトは拳大の穴が点々と続き、

焼け焦げた草木からはまだ白い煙が上がっていた。

地面にはマモンの足がめり込んだ跡が深々と残っている。

ただの巨体では出せない、エーテルによる異常強化の痕だ。

これを見ただけで十分だ。

――俺と"何か"が殺し合った、と。


「これは怒られるかな?」

そう言いながら煙草を取り出して火を付ける。

「すいません?」

声のする方を見ると俺のコートを持った少女が、息を切らし膝に手をついて来た。

「どうかしたか?」

「これ」

そう言って、コートを渡した。

「ああ、ありがとう」

「いえ、覚えてますか私のこと?」

少女の顔を見ると昨日話した子だった。

「昨日の」

「はい、以前助けてくれて。私花梨って言います」

「そうか、前にモンスターに襲われてた子か」

「はい、あれから色々調べてたのですっかりファンになっちゃって」

「そうか、あれから怪我は?」

「お陰様で健康です」

「そうかそれは良かった」

あの時助けた子がこうやって元気に居てくれるだけで嬉しかった。

「あの?」

「ん?」

「何かお礼をさせてもらえませんか?」

「お礼?」

「はい、前と今回で二回も助けてもらって」

「俺はハンターだよ、助けるのが仕事」

「ですが」

「良いの、ハンターは助けるのが仕事なんだから」

「そうですか」

少女は俯いてしまった。

お礼か、言われたこともないので悩んだが一つだけ思いついたことがあった。

「君は坂道グループのアイドルだよね?」

「はい、翠坂46と言うアイドルグループに所属しています」

「アイドルになってどのくらい?」

「三年くらい経ちました」

「そうか、今度神楽坂と言うグループに新人が入ることは知ってる?」

「はい、あのライブに居ました」

「そうか、神楽坂に俺の知り合いが一人受かってね」

「そうなんですね」

「うん、雪村真白って言うんだけど。少しだけ気にかけてあげるだけでいいから目をかけてやってくれないかな?」

「真白ちゃんか、あの子なら大丈夫だと思いますけど、分かりました」

「そうか、それなら安心だ」

「こんなことで良いんですか?」

「うん、それで良い」

「分かりました、真白ちゃんは任せてください」

「よろしくね、それはそうとグループが違っても話せたりするの?」

「はい、基本的には無いですけどモデルとか音楽番組とかこれから合同ライブとかもあるので話す機会はあると思います、私も話したいと思っていたので良かったです」

「なるほどね、じゃあこれを持っておきな」

俺は例のペンダントを渡した。

「これは?」

「これにはGiftが込められている」

「Giftが?」

「うん、モンスターなどからエーテルの攻撃を受けた場合結界に守られる物だよ」

「そんなもの貰って良いんですか?」

「うん、雪村さんを頼むってことで特別」

「ありがとうございます」

「それじゃあ、あんまりアイドルを喫煙者に近づけるわけにはいかないしこの辺で」

「はい、色々とありがとうございました」

「うん、気を付けてね」

「はい」

花梨は一礼して去って行った。

コートを羽織って煙草を吸いながら再び考える。

煙の向こう、地面に空いた巨大な亀裂が目に入った。

……あれはマモンの拳じゃない。

“地形そのものを歪める衝撃波”の痕。

もし市街地だったら……被害は桁違いだ。

たった一体で都市ひとつ壊れるレベルだ。


そんな時間が十分程経ち再び声をかけられた、今度は男だった。

「御影さんって何ですかこれ?」

「桐生、そっちはどうだった?」

「警察の応援が来て他のハンターが同行し連行されました」

「そうか、なら安心だな」

「はい、それで御影さんに何が?」

「まだ此処に姫野さんいる?」

「はい、先ほどの場所に」

「分かった、先ずは姫野さんに報告だ。連絡して此処に連れ来てくれないか?」

「分かりました」


そうして数分も経たずに姫野さんが来た。

「御影さん、これは一体?」

「結界を破った奴と本気で戦ったらこんな惨事に」

「えっと、何と言うか」

「これ、俺器物破損とかで捕まったりしませんかね?」

「状況によりますけど、でも御影さんが本気で戦った?」

「ええ、相手が本気かは分かりませんが」

「何があったか教えてもらえますか?」

そうして俺はマモンとの戦いや何があったかを事細かに話した。

「ゼロスフィア、正直言葉が見つかりません」

「でしょうね、これは一国が担えるものでもないし世界中で人間が纏まらないと戦えません」

「全面戦争ですね」

「はい、それに最悪ゼロスフィアの裏にそいつらを束ねる存在がいたとした場合にも備えないと」

「頭が痛いです」

「ええ、ですがそう考えれば全て辻褄は合う。世界中で起きてるエーテルを吸い上げて成長するGiftが横行している現実も」

「なるほど、分かりました」

「桐生」

「はい?」

「帰るか」

「え?」

「此処に居ても仕方ない、取り敢えず休もう」

「良いんですか?」

「うん、戦うにも休息は必要だ。先ずは温かい飯を食って暖かい風呂に入って布団で寝る。これ以上に大切なことはない」

「ふっ、分かりました。では帰りましょう」

笑いながら車まで移動した。


翌日。

朝起きると会長から着信があったので折り返した。

『もしもし?』

『御影さん、明日アメリカに行けますか?』

『はい?』

『世界中のハンターと大会を開きます』

『は?』



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