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マモン

俺は境界識フロンティア・サークルと言う新たなGiftを使い朝から精力的に働いていた。

「朝早いですね」

「まあね、でももう七時だし今日は良く寝た方だよ」

「そうですか、それで寝てる間は結界はどうなってるんですか?」

「俺のエーテル切れが怒らない限り切れることはないし、何か異変があれば直ぐに気づくよ」

「なるほど、因みにもう一度詳しく話を聞いても良いですか?」

「良いけど、空間内のエーテルの波長・流れを全て感知し、「危険反応」を自動識別する。

モンスターやハンターの武器には必ずエーテルが流れており、その“質”を御影の感覚が読み取ることで、

**「侵入拒絶」または「通過許可」**をリアルタイムで切り分けるもので、でもただし、エーテルを持たない一般人や刃物などの「純物質的な脅威」は感知できず、

暴漢や物理攻撃には無力なんだ」

「結構凄いですね」

「凄いなんてものじゃないよ、これをエーテルが切れない限り持続させるんだから大したものだよ」

「自分で言うんですね」

「まあね、実際俺にエーテル切れは起きないからね」

「体中からエーテルが噴出してるですもんね」

「うん」

「それで何をきっかけにこのGiftを?」

「中学・高校時代に読んでいたラノベ『境界の理術士』という作品で、そこに登場する主人公が「世界と世界の境を読み解き、敵の干渉を拒む」術式を使っていたんだ。それで境目をエーテルが多い存在を指定すれば出来るんじゃないかなって思ったんだけど、モデルがあるとはいえ、出来ちゃう俺天才だよね~」

「天才は天才でも一歩間違えれば天災になりますね」

「馬鹿なことを言うんじゃないよ、でも欠点が一つあるんだよね」

「欠点ですか?」

「うん、流石に此処まで広く結界を張ればエーテルが足りなくなるんだ」

「でも切れることはないんですよね?」

「うん、常に体の中心からエーテルは出てくるからね、でも普段俺の周りに張ってる結界までエーテルを使うと結界の強度が著しく低下するから、体の周りに今結界張ってないんだよね」

「じゃあ今御影さんを殴れば攻撃できるってことですか?」

「うん、軽めに殴ってみな」

俺は右手を出して、桐生は軽く右手を殴った。

「反動が来ない」

「言ったでしょ、まあどうせ何も起きないと思うけどそれでもこれがないと完璧に作戦が崩れるからしょうがないけどね」

「そうですね、じゃあ今日も頑張りましょう」

「はーい」


そうして、二日目に突入したが今日は十五時からと早くライブがあるので何も起きないことを祈りながら今日も朝からリハーサルを見守る。

ぼーっと見てると、昨日話しかけてくれた子がセンターで頑張ってる所を見つけて自然と応援していた。

俺は特にアイドルに詳しくはないが昨日は暗くてあまり顔が見えなかったが、大画面のモニターに顔が映るとサングラスと白い帽子をしていても顔が、今時の可愛らしい顔をしているが誰よりも身長が小さいので目立つこともあるが何処からそんなエネルギー溢れるダンスをしていて自然と目に着くので、センターをしているのも頷ける。

そんなリハーサルを見守りながら、携帯でゲームをしながら時間を潰す。

「今日は珍しく大人しく見てると思ったらここいらで、限界ですか?」

桐生がプラスチックの容器に水色の、ジュースを俺に渡した。

「まあね、ありがとう」

「いえ、丁度昼ご飯もあるのでどうぞ」

「ありがとう、これどっから持って来たの?」

「スタッフの人からもらいました」

「そうか」

「でも、昨日から思ってましたけどその薄いコート着てて暑くないんですか?」

「これ?」

「はい」

「これはライトテックコートって言ってまあお洒落に気を使ってるの」

「でも暑くないですか?」

「そうでもないよ」

「もしかして、Gift使ってます?」

「え?」

「やっぱり、どんなからくりですか?」

「体が感じる体温を少し下げるGift使ってる」

「はー、それはずるいです」

「まあ、冬は逆に温めれば良いから便利だけど服は気を使わないとな」

「そこまでして着なくても」

「着たいもの着るのが最上級のお洒落でしょ?」

「まあ、そうですけど」

「でも、使いすぎると服が季節に合わないから気を付けないとね」

「一つ良いですか?」

「なに?」

「それって僕にも出来ますか?」

「出来るけど、ずるって言ったじゃん」

「前言撤回しますので、お願いします」

「分かったよ、ほれ」

俺は右手を桐生の肩に触った。

「涼しい~」

「でしょ?」

「はい、これは便利ですね」

「まあ今三十度後半だけど、体感は二十五度くらいだから丁度良いよね」

「はい、これは良いです」

「じゃあこれで俺はゲーム出来る」

「駄目ですよ」

「え?」

「ちゃんとさっき見たいに見学しててください」

「えー、もう飽きたよ知らない曲ばっかりだし」

「知ろうと思えば面白いですよ」

「そう?」

「はい、でさっきはなんであんなに真剣に見てたんですか?」

「いやー、なんか昨日話けてくれた子がいるんだけど、何処かで見たことあるんだよね」

「見間違いじゃないですか?」

「うーん、そうかな?」

「そうですよ、さあちゃんと見ましょう」

「はいはい」


そうして、リハーサルを見てライブ本番も見たが何か起きるそぶりもなくただライブが終わって行った。

会議も特に新しいものもなくホテルの部屋でゆっくりとしていた。

「今日も何もなかったですね」

「うん、まあ良いことではあるんだけどね」

桐生とは同じ部屋なので隣のベットで寝そべりながらゲームをしながら話をしていた。

「でもなんか妙なんだよね」

「何がですか?」

「あんな大それた脅迫文送っておいて何もしてこないとか」

「やはりいたずらなんでしょうか?」

「うーん、でもそれにしては色んな人間が動きすぎてる」

「ハンターも警察もいますからね」

「うん、最初から少しおかしいとは思ってたんだけど、一通の脅迫文で此処までの人間を動かせるか?」

「誰かが意図的に人を動かしてると?」

「うん、協会は基本的にゲートが開いたりモンスターがこっちに来る時だけ動くし警察が動くにしても青嶋さん見たいな警視庁の人が来たりするか普通」

「確かに」

「また誰かが裏で何をしているとしか思えないんだよね」

「そうなるとハンター協会と警察を動かせるほどの人間が犯人?」

「うーん、ちょっと会長に電話してくる」

「はい」

俺はベランダに出て会長に電話をかけた。

『もしもし』

『会長、夜にすいません今良いですか?』

『大丈夫ですよ』

『今回の件何かおかしいと思いませんか?』

『やはり気になりましたか』

『ってことは何か事情が?』

『はい、実は…』


十分く会長と話して部屋に戻った。

「どうでしたか?」

「なんか面倒なことになったみたい」

「と言うと?」

「ハンター協会と警察を動かせる勢力があるとしたら、誰だと思う?」

「うーん、政府の人間ですか?」

「それもあるけどもう一つ、動かせる組織がある」

「なんですか?」

「ハンター協会本部だよ」

「本部と言えばアメリカですか?」

「うん、本部からこの脅迫文を詳しく調べろって言われたらしくて調べてみたら、脅迫文から以前観測したエーテルが微量ながら発見されたらしい」

「前に観測されたエーテル?」

「うん、高原って覚えてる?」

「はい、御影さんの同級生ですよね?」

「うん、死んだけど」

「確かGiftを植え付けられてそれでエーテルを使い果たして亡くなったと聞きましたけど」

「そう、その時にデータを取ってたらしいんだけどそれと似たエーテルが観測されたらしい」

「だとして、なんで本部が介入を?」

「世界中で高原見たいな事件が頻発しているらしい。でも協会はどこも本部の指示で世間にばれたくないらしくてね。全部隠してるらしい」

「それは誰か知ってるんですか?」

「いや、多分姫野さんも知らないと思う」

「なんで?」

「もう、日本だけの問題ではないと捉えたらしくてね極秘に調べてるけど尻尾すら掴めないから慎重にだと」

「なるほど」

「中にはエーテルを吸い上げて斬撃を放つ刀なんてものも、存在するらしい」

「もはやなんでもありですね」

「うん、だからこそ気を付けないと」

「ですね、エーテルを吸い上げて道具を使うとなると暴走したらどうなることやら」

「それも一件や二件の報告じゃないくて最近になって頻発してるから、道具係が流通してるとなると今までGiftが使えなかった一般人も超人的な何かを自分の命を犠牲にしてでも使うと思うから」

「どうしますか?」

「何が?」

「これを現場に報告しないと」

「うーん、でも本部からはハンターにだけは許可が出たってさっき言ってたから今頃姫野さんには伝わってると思う」

「そうですか」

そんな会話をしていると姫野さんから連絡が入った。

〈至急ラウンジまで来て下さい〉

「来た、緊急招集だ」


そう言ってラウンジまで行くと既に他のハンターが来ていた。

「皆さんには話はしてます、御影さんと桐生さんは既に会長から聞いたんですよね?」

「はい」

「でしたら話が早い、早速会議を始めましょう」


そうして、会議が始まったが。

実際何が起こるか分からないので明日の最終日は、会場にハンターを集めて囲う配置をつけて事情を知らない警察は会場外の警護に当たってもらうとして、此処まで来ると俺の結界次第となり解散となった。


そうしてライブ三日目、最終日。

俺は一睡も出来ずに朝を迎えた。


朝朝食を食べていると姫野さんが話しかけに来た。

「寝てないんですか?」

「うん、寝られなくて」

「休んでくれないと困りますよ」

「でも、俺がやすんだら終わりでしょ?」

「皆をもっと信頼してください」

「信頼か」

「はい、なので午前は御影さんは自室に待機で」

「え?」

「これは現場監督としての命令です」

そう言われるとどうも言えないので、休むことにした。


自室に戻り薬を飲んで、信頼しろと言われた言葉を思い出しながら眠りについた。


目が覚めると、桐生も部屋に居た。

「なんで居るの?」

「此処から、車で移動なんですから私がいないとでしょ?」

確かにホテルから会場まで十分くらい車で移動しなければいけない距離ではあった。

「でも俺、直ぐに行きたい所に行けるし」

「マイクロポータルですか?」

「うん」

「それはいけません」

「なんで?」

「御影さんには少しでもエーテル消費を抑えないといけません」

「そうか」

「はい」

「今何時?」

「十五時です」

「もう昼過ぎたか」

「はい、でも御影さんも起きなかったってことは異変はなかったんですよね?」

「多分」

「安心してください、無線を常につけていましたが異変はなかったです」

「そうか、じゃあ移動しようか」

「はい」


会場まで移動して、ステージの袖に俺は待機していた。

会場の周りには顔見知ったハンターがいることが袖から見えた、一応桐生とも反対側で待機していた。

邪魔にならない場所で待機しているので、小さいモニターがあってそこで会場の様子が分かるのでリアルタイムで何が起きているのか分かる。


ライブまで時間が迫ってくる時間まで来て。

重低音が鳴り始めて会場はファンの手拍子に包まれていた。

そうしてアイドル達がステージに上がるとファンの歓声が上がる。

今の所問題はないので安心だが何が起こるか分からないのも現状、結界に異変もないのでモニターを見ていた。

最終日のライブは二組のアイドルが交互に歌を披露しているので、あちらこちらにモニターが回る。

ライブはどんどんと進み水鉄砲でファンを撃ったり、最後の盛り上がりでは会場中に水が届く水鉄砲が放たれてライブは終わった。


何も起きなかった。

その後、観客も退場して一時間くらい経って会場の端にある芝生でスタッフとアイドルがバーベキューを行うのが恒例らしく準備が進んで行く。

それを見ながら、俺は少し離れた特別席に腰を下ろしていた。

「結局何も起きなかったですね」

「うん」

隣に桐生もいて他のハンターはスタッフ声掛けでバーベキューを手伝っていた。

次第にアイドルも来てバーベキューが始まった。


「御影さん!!」

丹波さんがこちらに声をかけながら走ってくる。

「もう何も起きないと思おうのでお二人もバーベキュー参加してください」

「ありがとうございます、ほら御影さんも行きましょう」

「うん」

その刹那、異変があった。

結界が破られた。

【マスター】

出していたカラスからだった。

【どうした?】

【人間と思わしき存在が一人刀で結界を破り、刀を持って武装した十五人くらいの白装束集団が会場に入ってきます】

【分かった】

俺は耳元の無線でハンターにだけ届く回線で声を出した。

《全員静かに聞け、結界が破られて刀を武装した十五人くらいがこちらに向かってる。俺は結界を破った奴の対処に当たるから他は全力で護衛対象を守れ》

《了解》

ハンターが直ぐに動き出して、アイドル、スタッフの前に立って囲うように陣形を取って

俺は直ぐに結界を破った奴のエーテルを捉えた。

そしてマイクロポータルで直ぐに移動した。


場所は会場裏の駐車場、車はもう一台も止まってなくそこにそいつはいた。

「あ、来た来た」

そいつは人間だった、顔は好青年のような若めな顔つきで和服を着て日本刀を腰に構えて

いた。

「結界を破ったのはお前だな」

「うん、そうだよ」

こいつ何か変だと思ったら、エーテルが二種類ある。

人間が元々持っていたエーテルとモンスターが流れているエーテルが混ざっていた。

「お前何者だ?」

「あ、気づいた。目良いね」

ただの人間でもモンスターでもない、結界を破ったものはどちらでも言い表せないそんな

異様な存在だった。

「僕はマモン」

「マモン?」

「うん、次元の狭間で生まれた存在だから人間でもモンスターでもないよ」

「何を言ってる?」

「分からない?」

俺はマイクロポータルで日本刀を取り出した。

「おうおう、結構好戦的だね。でも僕は今回君を勧誘しに来たんだよ」

「勧誘?」

「うん、君も僕らと同じで人間でもモンスターでもなくなってきている。自覚あるで

ょ?」

否定派出来ない…

「それでお前らに着くメリットは?」

「僕らは世界そのものが生んだ**“安定化装置”**。つまり僕らは誰かが造ったのではなく、世界が自壊しないよう自動的に生まれたんだ。だから人でも神でもなく、世界の無意識なの」

「随分小難しいことを言うな」

「君モンスターとの共存を望んでいるんでしょ?」

「ああ」

「それをすると世界の均衡は崩れるんだ、だから仲良くするのは駄目。だから僕らと手を組んでこの世界のシステムを裏で守ればいくらでもお金も生まれるし、Giftだっていくらでも持てるよ」

「そんなものに興味はない」

「え、人間ってもっと汚くて単純で馬鹿だと思ってたからこんな好条件受け入れてくれると思った」

「残念だったな」

「そうだね、だったら君を排除しないと」

マモンは刀を抜いた。

そうして俺も刀を抜いた。

空気が裂けた。

 御影の抜刀と同時に、地面のアスファルトが波紋のように弾ける。

 マモンの身体から放たれる黒いエーテルが周囲の空間を歪ませ、電灯が一つ、二つと破裂していく。

 光の代わりに、闇が瞬く。

 俺は踏み込み、足裏で地を抉る。

 白線が消し飛び、衝撃波で車が横転した。

 斬撃が空を裂き、マモンの背後の車列を一刀で粉砕する。

 だが、その軌道の中央にいたマモンの身体は、すでにそこにはいなかった。

 気配が背後。

 俺が振り返るより速く、黒の閃光が迫る。

 反射的に刀を横に振る。

 ――金属音ではない。空間が「悲鳴」をあげた。

 エーテル同士の衝突で、駐車場が波打つ。

 マモンの刃が空気ごと押し寄せ、御影の結界がかろうじて弾き返す。

 しかしその防壁の外縁が一瞬で粉砕される。

 圧力の奔流が御影の外套を裂き、腕を焼く。

 間髪入れず、御影は足元に刀を突き立て、周囲に光の陣を展開。

 《虚結界》が半径百メートルを包み、風と音が消える。

 静寂の中、二人だけが存在していた。

 次の瞬間、

 マモンの姿が五つにぶれる。

 それぞれが異なる軌道から斬りかかる。

 俺は呼吸を殺し、刃の角度だけで全てを受け流す。

 火花が散る。

 五つの像が同時に弾かれ、一つが実体を取り戻す――マモン。

 俺はそれを見逃さず、反撃に転じる。

 右手で斬り上げ、左掌から光の槍を放つ。

 マモンは地面を蹴り、身を翻して避けるが、槍の光が残光となって背中を貫いた。

 瞬間、黒い血が飛び散る。

 だが、血は地に落ちる前に霧散した。

 マモンの目が光を失い、代わりに瞳孔の奥で渦が巻く。

 空間の奥から“異界の裂け目”が覗く。

 そこから放たれるエーテルの奔流が御影の結界を軋ませる。

 世界そのものが揺れ始めた。

 俺は一歩踏み出す。

 視界が白く染まり、鼓膜が破れそうなほどの無音。

 ただ刀だけが、己の意思を代弁する。

 振る。

 一閃。

 風も、熱も、重力すらも断たれた。

 マモンの斬撃が同時に重なり、二つの力が交錯する。

 爆音。閃光。

 駐車場が陥没し、周囲の車が蒸発する。

 膝が折れる。

 だが、まだ目の光は消えていない。

 刀を支えに立ち上がる。

 目の前で、マモンの身体がゆらりと揺れた。

 その半身はすでに崩壊している。

 黒い霧が風に流れ、空に吸い込まれていく。

マモンはゲートの様で違う何かに向かって行く。

「待て!!」

「こんなとこに居て良いの?」

「あ?」

「君との戦いは楽しい、だから楽しみは取っとかないと」

俺は次元斬りをしようと抜刀したが違和感を持った。

こいつの目的は何か別にあるのではないか。

そうして意識が耳の無線に手を当てたが壊れていて機能していなかった。

「くそ!!」

「じゃあね、また」

そうしてマモンは次元の狭間に消えていった。 

ゆっくりと刀を納め、音、風、雨――すべてが帰ってくる。

残されたのは、抉れた地面と、焦げた匂い、そして静寂。

マモンの気配は、もうなかった。

俺は直ぐに会場に戻った。

だが白装束の集団は確実に動き出していた。


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